文部科学省は14日、小中学校で4月から使う新教材「私たちの道徳」を公表した。子どもが考えやすい題材を目指し、伝記や格言を集めたが、一面的な「心」の指導を懸念する声もある。安倍政権が力を入れる愛国心養成にもページを割いている。 「成功の背景にある悩みや志を考えることに意味がある。具体的なエピソードを通じて考えを深めさせたい」。偉人伝や格言を集めた理由を、文科省の担当者はそう説明する。従来の道徳教材「心のノート」は短文や書き込み欄が中心で、「抽象的で扱いづらい」という意見が根強かった。 道徳は正式教科ではないため教科書がなく、学校では「心のノート」や各地の独自教材、民間会社の教材などが使われている。新教材も使用義務はないが、下村博文文科相は「授業や家庭で活用を」と話す。2012年の文科省調査では「心のノート」を使う小中学校は89%に上った。