「ふるさと納税制度の問題点についてはたびたび訴えていますが、やはり国は制度設計の失敗を認めるべきではないかと強く思います」――。東京都世田谷区の保坂展人区長は、1月末の記者会見で、こう訴えました。 区の試算によると、ふるさと納税による住民税の「流出」が3年後には100億円を超える見込みです。将来的にどのような影響が出てくるのか、世田谷区に取材しました。 川崎市に次ぐ全国2位の流出額 任意の自治体に寄付をすると翌年度に住民税の控除が受けられる、ふるさと納税。特産品の返礼競争が激化しており、都市部から地方に寄付する人が増加しています。 所得が高い人ほど多く返礼品を受け取れる仕組みのため、多くの人口を抱え、富裕層も多い大都市ほど、住民税が「流出」しやすい構造です。 世田谷区の減収額は年々増加しており、2019年度は約54億円に達しました。これは川崎市に次ぐ全国2位の流出額です。4年間で約20倍に