金融機能強化法の改正による資本注入の対象として新銀行東京が有力視されているが、これは90年代の失敗を繰り返す結果になるだろう。新銀行東京は経営が行き詰まっている上に、100億円の引き当て不足を会計検査院に指摘され、すでに債務超過になっている疑いが強いからだ。 資本注入のためには資産超過になっていることが条件で、債務超過の銀行に税金を投入することは、私企業に対する国費の贈与である。こんな処理をすると、1994年に2信組の破綻の際に預金保険機構が400億円を贈与したときのように、「公的資金をドブに捨てた」と批判が起こり、今後ほんとうに資本注入が必要になった場合にできなくなる。 邦銀はCDOやCDSを大量に保有していないので、欧州のような状況にはならないが、株安によって自己資本が侵食される可能性はある。この場合、株式市場で増資することが原則だが、それが困難な場合には公的資金の注入も手段のひと