→紀伊國屋ウェブストアで購入 「ウィーン楽友協会の200年」 ウィーン楽友協会といえば、その合唱団を20世紀の名指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンがベートーヴェンの第9などの名曲の録音に起用したことが思い浮かぶが、本書(オットー・ビーバ、イングリード・フックス『ウィーン楽友協会二〇〇年の輝き』集英社新書ヴィジュアル版、2013年)は、同協会が1812年の創設以来200年の歴史を誇る組織であることを丁寧に解説した好著である。 1812年11月29日、ウィーン近郊のアスペルンの人々を助けるための慈善演奏会が開かれた。その3年前、ナポレオン・ボナパルトが率いるフランス軍がヨーロッパ中に侵攻していたが、そのフランス軍をオーストリア軍がアスペルンにて迎え撃ち、勝利を収めた。だが、勝利はしたものの、アスペルンの住人たちは戦火によって被災し、まだ助けを必要としていた。そこで、アスペルンの被災者たちを支援