久しぶりにオックスフォードのPractical Ethicsのブログから、2015年9月に公開された、倫理学者のロジャー・クリスプ(Roger Crisp)の記事を訳して紹介。 blog.practicalethics.ox.ac.uk 「安楽死と、弱者の保護」 by ロジャー・クリスプ 悲しいことに、しかし意外でもないことに、ロブ・マリス議員による安楽死(assisted dying, 幇助自殺)の合法化法案はイギリス下院議員の多数派によって否決された。 安楽死合法化法案を否決するための議論としては、この法案を否決することは弱者(vulnerable)を守ることである、という議論が最も広く受け入られているものであるようだ。 上述の議論を行っている人たちが想定している弱者とは、どのような人たちであるのだろうか?それは、家族を重荷から解放するために自分は安楽死を要求しなければならない、という