著者はイタリアの哲学者で、以前に出した『科学哲学から見た実験経済学』が翻訳されています。昨年、『現代経済学』(中公新書)を出した経済学者の瀧澤弘和が監訳していますが、内容的には哲学の本と言っていいでしょう。 ただし、その内容は社会科学と密接に関係しています。『現代経済学』を読んだ人ならわかると思いますが、近年の経済学が注目するものに「制度」があります。経済発展の鍵や各国ごとの経済の違いを制度によって説明しようとする考えが数多く登場してきているのです。 その中でも、この制度をゲーム理論よって説明しようとする考えがあります。青木昌彦などがそうですし、監訳者もこの流れにいる人と言っていいでしょう。 そして、このグァラもまたゲーム理論に注目しています。ゲーム理論を使って制度を説明しつつ、後半ではその哲学的な位置づけについて探ったのがこの本です。 久々にきちんとした哲学の本を読んだので、以下では監訳