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ブックマーク / note.kishidanami.com (5)

  • 魂をこめた料理と、命をけずる料理はちがう|岸田奈美|NamiKishida

    ラーメン屋の行列に並んでいた。 京都の自宅へ遊びにきた母が 「ラーメンべとうて、しゃあない」 と、眼をかっ広げて言うのである。 母はたまに、そういう猛烈な天啓が下る。 車いすなので、こぢんまりした店にはひとりでフラッと入れないからだ。 ならば、どうしてもべさせたいラーメンがある!京都の名店! 麺屋猪一! いつ来ても行列で、ミシュランにも載り、外国のお客でごった返してる。 おっ。 店近くの“離れ”なら、今日は20分ぐらいで入れそう。 天啓!!! というわけで、並んだ。 待ってる間に、メニュー表を見る。 「1400円!?!?!?!!」 ビビった。 2年前に初めてべたときは、900円。 昨年は、1000円だったのに。 つ、強気ィ! 原材料の高騰で値上げするのは、まあめずらしくもないけど、なかなかにウッとなる金額である。 観光で来た人、それも外国からなら、ぜんぜん出せるか。そっか。え〜〜〜

    魂をこめた料理と、命をけずる料理はちがう|岸田奈美|NamiKishida
    ysync
    ysync 2023/09/06
    「母が独自の賞の創設に至った。落ち着け。」めっちゃ笑ったw
  • 弟が大金を稼いだので、なにに使うかと思ったら|岸田奈美|NamiKishida

    岸田家の歴史を揺るがす大事件が起きた。 わが弟が、莫大なお金を稼いだのである。 大金とは、彼が三十年働いて手にするはずの金額だ。 それを数時間で。 田舎の片隅にある剥がれたフローリングの我が家から、絶世の富豪が爆誕した。血統書のない梅吉(犬)も、高貴なチャウチャウに見えてくる。 弟は生まれつきダウン症なので、障害のある人が集まる福祉作業所で、平日の朝から夕方まで働いており、日給は500円だけど昼が450円なので、手取りは50円だということは、一旦、横に置いておく。 富豪が爆誕したのだ。 (※賃金は弟の障害の程度、作業所が受注できる業務の量、通っている人数などの兼ね合いがあり、弟も働くというよりは、みんなで喋ったり、散歩したりすることをなによりの目的にして通ってるので、ゆるく受け入れてくださる福祉作業所のみなさまにとても感謝しています) さて、その気になる稼ぎ方であるが。 手書きカレンダー

    弟が大金を稼いだので、なにに使うかと思ったら|岸田奈美|NamiKishida
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    ysync 2021/10/20
    「そのために、われわれは働いていたのではなかったか。」ですね。/「姉がぜんぶ食べた。」このへんの緩急ずるいレベル。泣くわ。
  • 伊丹空港へ飛ぶはずが|岸田奈美|NamiKishida

    仕事で札幌へ行く用事ができたので、いま空港にいる。 京都からだと、伊丹空港までリムジンバスで一時間。関西空港までだと十五分ほど遠くなるし運賃も倍になるけど、こっちの方が航空チケットが安かったので、関西空港を選んだ。 空港までのリムジンバス乗り場は、京都駅の八条口にある。 八条口といっても、タクシーのロータリーから遠い位置にあるので、市街からタクシーで行く人は「八条口まで」じゃなくて「アバンティ前まで」って伝えた方がおすすめ!わたしみたいに時間ギリギリになって、息を切らして駆け抜けた道を振り返りたくなければな! 空港までの道のりをゆっくり歩けた記憶がないので、いつもどっかでキャリーバッグを死体のように引きずって走っている。心斎橋筋商店街の店先でチェーンに繋がれて投げ売りされてる安いやつだと一瞬でコロコロがお陀仏になったし、なにより空の状態でも重いので、わたしの持ち物のなかでもキャリーケースは

    伊丹空港へ飛ぶはずが|岸田奈美|NamiKishida
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    ysync 2021/10/12
    「腰に巻きつけた大量のカメラのバッテリーを爆弾だと疑われて」エネルギー密度的にはあながち間違ってない。/サムソナイトねぇ。ポーター(吉田かばん)やダイソン、バルミューダ、アップルと同じ籠の中。宣伝過多
  • 車いすの母とミャンマーに行ったら、異国の王様だと思われた|岸田奈美|NamiKishida

    2016年11月。 土埃と魚醤の匂いがするミャンマーの市場で。 私は立ち尽くしていた。 車いすに乗る母の背後には、何人ものちびっ子托鉢僧たちが、連なっていた。 逃げようとすれば、ついてきて。 そしていつの間にか、増えていて。 君たちは、あれか。ピクミンか。 母・ひろ実は困り果てた顔で「どうしよう」と、私に助けを求めた。 私は、見て見ぬフリをした。 私という人間は、理解できない状況に遭遇したら、たとえ実の親であろうとも迷いなく他人のフリができるんだなあ、としみじみ思った。 それはもう、全力で他人を演じた。 演技には自信がなかった私が、ミャンマーの地で、倍賞千恵子を彷彿とさせる名女優になった。 なぜ倍賞千恵子になったかと言うと、話は遡る。 とある仕事のご縁で、私たち親子が、ミャンマーへ招かれることとなった。 今だから言えるが、当時の感情は「ありがてえ」と「おっかねえ」が、ハーフ&ハーフだった。

    車いすの母とミャンマーに行ったら、異国の王様だと思われた|岸田奈美|NamiKishida
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    ysync 2021/04/23
    面白おかしい筆致もいいし。内容も考えさせられて良い。
  • 歩いてたら30分で6人から「ケーキ屋知りませんか?」ってたずねられた|岸田奈美|NamiKishida

    これは、あなたのために書いている。 春から大学生や社会人になって、新しい環境にドキドキして。 大変なことが起こっている世の中で、将来や収入に不安を感じて。 家族や友人のいない都会で、漠然と寂しくなって。 そんなあなたのために、書いている。 ちなみにわたしは、このどれにも当てはまらないが「明日の運転免許試験の練習のために路上教習を受けに行ったら、縦列駐車に20回以上失敗して“もう勘でいきましょう”と教官から冷静に言われ、ヘトヘトに疲れきり、自由が丘の裏路地の階段でうなだれていた」せいか、そんなあなたに見えてしまったらしい。 はじまりのお姉さんたち 「すみません。いまから友だちの集まりっていうか、ちょっとしたホームパーティがあるんですけど、バースデーケーキ買えるところ探してるんです〜〜〜!このあたりで美味しいケーキ屋さん知りませんか?」 顔をあげたら、きれいなお姉さんが二人いた。 まず知らん人

    歩いてたら30分で6人から「ケーキ屋知りませんか?」ってたずねられた|岸田奈美|NamiKishida
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    ysync 2020/05/24
    ナイマーニでぐぐりそうになったけど、気づけてやめたw
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