20歳前後の頃だったかと思うけど、中村喜春という人のエッセイを読んだことがあった。この人は戦前に新橋で芸者をして、結婚して離婚し、戦後アメリカに渡り、アメリカがすっかり気に入って、留学生の世話などしながらアメリカで暮らしたという、なかなか面白い経歴の人だった。著者がこの本を書いたのは、たぶん80歳を超えてからだったんじゃないかと思う。 ときめきが大事だと言い、おしゃれが好きで、地味な着物を着ることを嫌い、男性との付き合いもそれなりに沢山ありそうな人だと思うのだが、「人生で本当に悲しい別れは3度あった」と書かれていた。恋愛絡みの別れだった。 もうひとつ、これは男性が書いたエッセイで、その人は奥さん公認で他の女性とデートをする人なんだけど、「もし病気になって死が近いということになったら、女房の他に会いに行きたい女性は二人いる」という。 私はこれらの本を読んで、「沢山お付き合いしてそうな人でも、