東京都港区で男子高校生が死亡したエレベーター事故から6年半。 業務上過失致死罪に問われたシンドラーエレベータの社員らの公判は、起訴から3年4か月過ぎても始まらない異例の事態に陥っている。審理を迅速化させるはずの公判前整理手続きで、検察側と弁護側が「鑑定合戦」を続けているためだ。先月には金沢市で同種事故が発生。遺族は「原因究明が遅れれば、再発防止も滞る」といら立ちを募らせている。 都立高校2年の市川大輔(ひろすけ)さん(当時16歳)が、自宅のある集合住宅のエレベーターに挟まれて死亡したのは2006年6月。問題のエレベーターは、事故の1年半前にも故障していた。 東京地検は09年7月、故障時に十分な原因究明を怠った過失があるなどとして、同社東京支社の点検担当だった元保守部長(61)ら計5人を在宅起訴。東京地裁は同9月に公判前整理手続きを開始する決定をした。 ところが、それから3年以上にわたって1