システム概念の要諦を「全体が部分の総和以上のもの」と見做すところに求めるなら、そのルーツはアリストテレスの『政治学』第一巻にまで遡れる。そこで彼は、手足が体全体から切り離されたら意味をなさないことを例に、全体が部分和に優越するのだと述べた。 理論としては、生物現象に見られる特異性についての共通の認識枠組としてベルタランフィが1940年代に提唱して以来の歴史しかないが、統計熱力学の発展と相俟って1960年代には一般的な用語系を築きあげた(ベルタランフィ『一般システム理論』原著1968)。 まず、環境との相互作用がない場合を「孤立システム」という。均衡(平衡)概念は、初期状態設定後は孤立する場合にだけ適用できる。連立常微分方程式を用いた質点力学の枠組や、これを応用した経済学の一般均衡理論の枠組は、孤立システムに関するものである。 また、環境との間でエネルギー移動があっても物質移動のない場合を「