中東情勢をめぐる報道のなかでしばしば登場する「ヒズボラ」。最近では、とくに2011年からのシリア「内戦」において、バッシャール・アサド政権を支持・支援する勢力として、新聞やテレビのニュースで取り上げられている。かつては、自爆攻撃や欧米人の誘拐を繰り返す「イスラーム原理主義」や「テロ組織」として、その名がたびたび報じられたこともある。 「ヒズボラ」とは、中東のレバノンを拠点とするシーア派のイスラーム主義組織である。イスラーム主義とは、イスラームを政治的なイデオロギーとして掲げ、それに依拠した社会改革や国家建設を目指す思想である。この思想を掲げる組織、すなわちイスラーム主義組織としては、例えば、エジプトのムスリム同胞団やパレスチナのハマース、アル=カーイダなどが挙げられる。 しかし、そのなかでも、「ヒズボラ」は、結成以来約30年もの長きにわたって一貫して勢力の拡大に成功してきたという点で異彩を