「襲う」「奪う」よりもむしろ「守る」。 村上海賊は、この地を渡る船の安全や祖先から受け継いだ信仰、かけがえのない穏やかな暮らしや、大名顔負けの優雅な文化、そして何よりもこの美しい瀬戸内海の風景を守ってきました。 村上海賊の足跡をたどる旅は、日本人が心の中で大切にしてきた何かを探る旅なのかもしれません。 Detail Murakami Kaizoku the Story日本最大の海賊瀬戸内海には、かつて海賊がいた。戦国時代、『日本史』を記した宣教師ルイス・フロイスに「日本最大の海賊」と言わしめた村上海賊である。 彼らは、理不尽に船を奪い、金品を略奪するパイレーツではない。掟に従って航海の安全を保障し、瀬戸内海の交易や流通の秩序を守る役目を担っていた。 村上海賊の本拠地である芸予諸島は、島々が密集して連なっている。海は一見おだやかに見えるが、狭い海峡にいざ船を進めると、潮の干満による激しい潮流