美食業界には、なぜ女性料理人が少ないのかーー。 在仏ライター・高崎順子氏が出会った1冊の本をきっかけに、フランス料理界が抱えるジェンダー格差についてリポート。そこには、日仏の料理界に共通する強固な「構造」があった。 「この間読んだ本、すごくよかったんですよ。しっかり考えて作られていて、しかも話が面白いの。児童書なんだけど高崎さんも好きだと思う」 ある日、出版社勤務の友人から言われた。本のタイトルは『すし屋のすてきな春原さん』。国連が推奨するSDGs(持続可能な開発目標)をテーマにした小学校中〜高学年向けのシリーズで、この本は女性寿司職人をモチーフに、ジェンダー平等を扱う児童小説だという。 おすし、職人、ジェンダー、SDGsと私には興味のあること目白押しで、しかも我が家の二人の息子はちょうど対象年齢だ。「そりゃ読みたい!」と前のめりで返事をし、ワクワクして読んだ。 そしてこれが、とてもよかっ