病気で右足を切断し、障害年金で生活していた男はなぜ数百万円の借金を抱えるようになり、金目当てで殺人を犯したのか。広島市で昨年6月、男子大学生がインスリンなどの薬物を投与された末に殺害され、現金が奪われた事件。逮捕された容疑者の男は投資話で大学生から金をだまし取り、返済を迫られると複数の薬物を数日にわたって投与、殺害につなげた。男には同居の親も知らない数百万円の借金があったが、その理由ははっきりせず、事件は謎を残したままだ。 (児玉佳子、森西勇太) 電話で話す被害者の隣にいた殺人犯 昨年6月23日午前8時20分ごろ、広島市安佐南区の広島修道大4年、佐藤裕樹さん=当時(24)=は、1人暮らしの自宅で親族からの電話を受けていた。 「元気にしとる」 そんな問いかけがあったであろう電話のすぐ横には、佐藤さんを殺害し、現金を奪ったとして強盗殺人容疑で今年2月18日に逮捕された広島県安芸高田市の無職、山