糞便移植で脳が若返えるようです。 8月9日にスウェーデンのカロリンスカ研究所の研究者たちにより『Nature Aging』に掲載された論文によれば、若いマウスから老いたマウスに糞便移植を行うと、老いたマウスの認知機能と免疫力が大幅に改善したとのこと。 どうやら脳機能は脳細胞の働きだけで決まるのではなく、腸内細菌の支配も受けているようです。 しかし、いったいどんな仕組みで糞便移植が脳を若返らせていたのでしょうか?
上の黒い円の画像、中心から光の筋が見えますよね?それ、脳が起こす目の錯覚です。 なんと、全く存在しないまぶしい光線を見せる「新しい錯視」が作成されました。 ビジュアルアーティストのカルロヴィッチ氏が2019年に彼の会社「RecursiaStudios」のロゴとして制作した錯視「シンチレーションスターバースト(きらめくスターバースト)」は、真っ白な背景に円状のパターンを花輪のように繰り返し配置したシンプルなもの。 この画像を見た人は「雲の隙間から差し込む太陽の光」のような光線が中心からでていると錯覚します。 なぜあるはずのない光が皆さんの目に映ったのでしょうか。 ニューヨーク大(NYU)の研究者がそのメカニズムを研究し、6月29日に科学論文誌『i-Perception』で報告しています。
「みんなのため」なら心は痛まない実験の結果、2つの傾向が明らかになりました。 1つ目は、排斥の候補となる人物は、集団への貢献度に大きな差があるときほど、集団への貢献度が少ない人物が排斥される確率が高くなったのです。 実験で提示されたグラフ / Credit:名古屋大学 このグラフの場合だと、Lさんが排除される確率が高いことになります。 このとき、Lさんは集団への貢献度が少ない代わりに、排斥を決定する実験参加者にとっては、得になる人物として設定されていました。 しかし、多くの参加者は、自分の利益になる人物だとしても、集団の利益につながると判断した場合、その人物の排斥を決断したのです。 2つ目は、排斥する人物が集団にもたらす利益が多い人物であったときほど、排斥を決断した後の参加者の心の痛みが強くなったのです。 参加者の利益になる人物を排斥する確率(左)、排斥した後の心の痛みの変化(右)。灰色の
全身麻酔の仕組みを解明すると、意識の本質がみえてきました。 4月27日に『eLife』に掲載された論文によれば、最も一般的に使われている麻酔薬「プロポフォール」は脳のリズムを乱すことで、意識の形成を妨げているとのこと。 意識がある時には、脳から1秒間に7回ほど、特徴的なスパイク(電気信号)が放たれていますが、このリズムが低下すると、意識も途切れてしまうようなのです。 不思議なスパイクは、意識の形成にどのようにかかわっているのでしょうか?
核兵器を使っても衝突阻止は困難惑星防衛会議で行われた演習の2日目、シミュレーションの時間は5月2日時点まで進められました。 この時点で、新しい衝突軌道計算が行われ、2021PDCはほぼ確実にヨーロッパ、または北アフリカに打撃を与えることが判明しました。 5月2日時点で予想された2021PDCの落下予想範囲 / Credit:JPL / NASA ここで演習に参加した科学者たちは、探査機を使った攻撃によって小惑星を破壊したり、小惑星の軌道をそらせる可能性があるかを検討しました。 結果、科学者たちは、現実に今回の2021PDC仮想シナリオが発生した場合、半年未満の期間でこの小惑星に対応する探査機(宇宙船)を打ち上げることは、現在の技術では不可能だと結論づけました。 そこで、参加者たちは次に核兵器を用いて小惑星の爆破・破壊ができないかを検討しました。 核兵器破壊ミッションを展開すれば、小惑星衝突
ヒトも毒性を獲得できる可能性があるようです。 沖縄科学技術大学院大学(OIST)、オーストラリア国立大学の最新研究により、経口毒の生成に必要な遺伝的土台が、爬虫類だけでなく、ヒトを含む哺乳類にも存在することが判明しました。 この結果は、ヘビの毒液腺と、哺乳類の唾液腺の間にある生物学的つながりを実証した初の証拠となります。 果たして、毒人間は誕生しうるのでしょうか。 研究は、3月29日付けで『PNAS』に掲載されています。 Humans Have The Biological Toolkit to Have Venomous Saliva, Study Finds https://www.sciencealert.com/humans-have-the-biological-toolkit-to-be-venomous-but-evolution-had-other-plans A mous
私たちの脳は、非常に大量の情報を記憶することができます。 しかし、その記憶は脳のどこに、どうやって保存されているのでしょうか? 2月25日にオープンアクセスジャーナル『Frontiers in Molecular Neuroscience』で発表された新しい研究は、私たちの記憶がコンピュータと同じようなバイナリ形式で、シナプスを構成するタンパク質に書き込まれていると報告しています。 MeshCODE理論と呼ばれるこの新しい理論は、脳機能を新しい形で理解するもので、アルツハイマー病などの脳疾患の治療に役立つ可能性があります。
感情を強制起動する脳のツボ脳に電気刺激を与えてうつ病を治す技術が大幅な進歩をみせている / Credit:Canva脳は心臓と同じく、電気的な臓器です。 そのため近年、うつ病患者に対して脳に電気刺激を行う手法が着目されています。 ただ既存の電気刺激法は非常に大味であり、脳全体に大電流を流す方法がメインでした。 そこでカリフォルニア大学の研究者たちは、5年もの長期に及ぶ臨床試験の結果を元に「神経マッピング技術」を開発しました。 この神経マッピング技術は脳の各地に差し込んだ電極から、患者一人一人の神経回路の特性を認識し、その患者にとって最適な治療部位(刺激場所)をピンポイントで探し出すように設計されています。 そして今回、マッピング技術の性能を確かめるために、難治性うつ病に苦しむ36歳の女性患者に対して、はじめての試験が行われました。 その結果は、まさに驚きでした。 女性患者は覚えている限り5
宇宙探索機を手掛けるイギリスの企業Spacebitは世界初の月面四足歩行ロボット「ASAGUMO(アサグモ)」を発表しました。 ASAGUMOは10×10cmに収まる小型ロボットであり、地球以外の天体を探索する最初の脚式ロボットになります。 2021年の夏には月面でのテスト調査が行われる予定です。
リアルなTS(性転換)体験は、男の中の漢も乙女にしてしまうようです。 9月1日に『Scientific Reports』に掲載された論文によれば、VR(バーチャルリアリティー)を使ったTS体験が、実験参加者の心の性別を容易に動揺させ、異性化の方向に働きかけていたことが示されました。 実験参加者の多くは性転換願望のない人々でしたが、それでも心に大きな影響を残したようです。 私たちが持っている自然な性別意識(男らしさ・女らしさ)は、簡単な疑似体験で崩れてしまうような脆いものなのでしょうか? 結論から言えば、そのとおり。僅かな時間の性転換体験でも、被験者たちの性認識は可逆的ながらも甚大な影響を受けていたのです。 >参照元はこちら(英文)
ミールワームは発泡スチロールを食べ、分子レベルに分解できる現代では、生分解性(微生物により分子レベルに分解できる)プラスチックが存在しています。しかし、世界中で分解できないプラスチックも数多く生産されています。特に発泡スチロールは非生分解性であり、環境への影響が懸念されてきました。 ところが2015年、ウー氏らの研究によってゴミムシダマシ科の幼虫であるミールワームが、非生分解性プラスチックと考えられてきたポリスチレンを分解できると報告。 発泡スチロールを食べ分解するミールワームたち / Credit:stanford :モザイク無しはこちら 発泡スチロールは気泡を含ませたポリスチレンですが、ミールワームたちはこれを腸内バクテリアによって分子レベルにまで分解することができるのです。 実際、研究室では100匹のミールワームが1日あたり34~39mgの発泡スチロールを食べ、他の食糧と同じようにそ
ルーマニアに出現した新モノリス!新たなモノリスは、先週木曜(26日)、ルーマニア北部の都市ピアトラ・ネアムツにあるブトカ・ドアムネイ丘で発見されました。 モノリスは、3枚の金属板からなる三角柱をしており、高さは約3.9メートルあります。 ユタ州のモノリスと形状や高さ(約3.6メートル)ともにそっくりですが、別物のようです。 ルーマニアのモノリス / Credit: dailymailモノリスが見つかった場所 / Credit: dailymail 発見された場所のすぐ側には、考古学的に有名な「ペトロダバ・ダキア要塞」という遺跡があります。 これはBC82〜AD106年の間に古代ダキア人によって建てられた建造物です。 ルーマニア当局のロッサナ・ジョサヌ氏は「この場所は私有地になっていますが、誰がモノリスを設置したのかはわかっていません。しかし、遺跡の保護区にも指定されており、何らかの構造物を
高等学校での理科教員を経て、現職に就く。ナゾロジーにて「身近な科学」をテーマにディレクションを行っています。アニメ・ゲームなどのインドア系と、登山・サイクリングなどのアウトドア系の趣味を両方嗜むお天気屋。乗り物やワクワクするガジェットも大好き。専門は化学。将来の夢はマッドサイエンティスト……? 宇宙と脳の不思議な類似性Credit:ニューヨークタイムズ多くのヒトにとって、脳と宇宙の関連性を意識させられたのは、2006年に『ニューヨーク・タイムズ』に掲載された一対の画像でした(上の図)。 この画像の左側はマウスの脳内のニューロンを赤く染色したもの、右側には宇宙に分布する銀河の大規模構造をシミュレートした結果が映されています。 両者の構造が非常に似通っているという事実は衝撃的であり、多くの人々の記憶に脳と宇宙の神秘的な関係を刻みました。 以前から両者の構造が似ている理由は、構成割合の類似性が原
「せきの音」で新型コロナウイルスかどうかを診断できるAIの開発に成功! “98.5%の精度”で驚異の的中 ヨーロッパで再拡大中のCovid-19(新型コロナウイルス感染症)ですが、その要因のひとつに「ウイルスが無症状で感染力を持つ」ことがあげられます 無症状患者にはそれとわかる異変がないため、特定が非常に困難です。 しかし、マサチューセッツ工科大学 (MIT)はこれに対し、せきの音声検査によって感染の有無を特定できるAIモデルの開発に成功したと発表しました。 人の耳では聞き分けられない違いで無症状患者を特定でき、その精度は98.5%に達するとのことです。 研究は、『IEEE Journal of Engineering in Medicine and Biology』に掲載されています。
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