司馬遼太郎先生著、「竜馬がゆく」第五巻(文春文庫旧版)に、坂本竜馬が西郷隆盛と初対面するシーンが描かれています。247ページから274ページあたりですね。蛤御門ノ変直後、厳戒態勢の京都になんとか入り込んだ竜馬が、薩摩藩邸を訪ねたのでした。このふたりがまさに倒幕の原動力となったわけです。 この物語では、西郷隆盛はこのあたりから登場するので、紹介がてら、西郷についていろいろと書かれてあります。奮っているのがその自己教育。「おのれを愛するなかれ」というのが、彼の自己宗教の唯一の教義であったそうです。西郷は島津久光に嫌われ、二度の島流しにあいますが、そのとき、「どういう人間が大事業をなせるか」ということを考えた末の結論が、これだったのです。以下が説明。260ページ。 「...命も要らず、名も要らず、官位も金も要らぬ人は、始末にこまるものなり。この始末にこまる人ならでは、艱難を共にして国家の大業は成