まず相川の考えから見ていくことにしよう。相川は、「(全社会的経済的過程の)技術的契機の史的叙述」として、すなわち、「技術過程自身の内在的合法則的発展」を記述するものとして、技術史を規定した。(6)相川は、技術的過程が社会や経済に基本的には制約されながらも、その発達過程には内在的な法則が存在すると考えたのである。例えば、マニュファクチュア期から産業革命期にかけての技術の歴史的変化を、道具から機械への転化という形で労働手段体系の発達過程として捉えた。またそれとともに、原動機、配力機構、道具機の三つの部分から機械の体系が構成されるものと考えた上で、道具機を主導的要因として産業革命の技術的過程を分析すべきものと考えた。すなわち蒸気機関(原動機)ではなく、紡績機(道具機)が産業革命の技術的起点であると主張した。 その後も相川は、同じような観点から技術史を特徴づけている。例えば、「技術史の基礎論点」に