文藝 巻頭エッセイ 単行本 - 文藝 『完全版 韓国・フェミニズム・日本』責任編集・斎藤真理子さんによる「巻頭言」全文公開 斎藤真理子 2020.01.10 未来から見られている 斎藤真理子 雑誌は生きものとよく言われるが、その通りだった。二〇一九年七月に発売された『文藝』秋季号(特集「韓国・フェミニズム・日本」)が異例の増刷となり、とうとう創刊以来八六年ぶりの三刷が決まったとき、私も驚いたが編集部も驚いていた。生きものなのでその勢いを予測することはできないし、方向を制御することもできない。若い編集部の健闘によってでき上がったこの生きものには、さまざまな立場と世代の人たちが集まって放つエネルギーがあふれており、日本の作家と韓国の作家の名前がハングルも交えて表紙に並んだところは、潮目の変化を感じさせた。 特集名に即していえば、「韓国」に興味がある人、「韓国のフェミニズム」に興味がある人、「韓