銀の弾丸の意味について簡単に書いておく。 『銀の弾などない』について まず、フレデリック・ブルックスの有名な論文「銀の弾などない ― ソフトウェアエンジニアリングの本質と偶有的事項」(1986)の内容は、次のようなものである。 ソフトウェアの構築には、本質的作業と偶有的(副次的)作業がある。前者は「何を作るか」についてのテーマであり、後者は「どう作るか」についてのテーマである。 「どう作るか」については様々な技法が生まれており、高水準言語、タイムシェアリング、オブジェクト指向プログラミング、人工知能、ワークステーションなど重要な技術革新はあったが、決定的なものとは言えない。 またそもそも「何を作るか」のテーマにおいて、ソフトウェアには困難が本質的に内包されているのである。 ソフトウェアの「何を作るか」には4つの性質がある。 複雑性: ソフトウェアは、同じコードは1度しか書かないという作り方