……ねえ先生 それがこの世の真実ですか? 本当は 懸命に生きようとする努力も 人を愛したり愛されたりする悦びも悲しみも すべては作りもののまぼろし どうしようもなく無力で無意味なものでしかないのではないですか? 田中ユタカ『愛人』 漫画を読んでいて泣けてきた経験がおありだろうか? ぼくはある。めったにあることではないし、ひとに公言するような性質のことでもないかもしれないが、あることはある。 歳をとると涙もろくなるということは本当だと思う。十代、二十代の頃にはさして感心しなかったかもしれない作品に、なぜか涙を止められないのだ。 それでもやはりランキングを付けて「この漫画が泣ける!」という記事にするほどにはよくある経験ではない。すぐに思い浮かぶのは羅川真理茂の『ニューヨークニューヨーク』や田中ユタカの『愛人』くらい。 いや、もう一作ある。読み返すたびに熱い感動がこみ上げる名作、島津郷子の『ナー
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