私たち日本人の歴史は、3万8000年前に大陸から日本列島に渡ってきた後期旧石器時代の人たちによって始まったと言われている。 そんな日本の黎明期について1つ大きな謎がある。それは、最初の祖先がどうやって海を渡ったのかということだ。はたして彼らは海を漂流した結果、偶然新天地にたどり着いたのか? それとも自らの意思で海を渡ってやってきたのか? 日本と台湾の人類学者・海洋学者グループによると、どうやら後者の可能性が濃厚であるようだ。 日本人の祖先は漂流者か、冒険者か? 民俗学者の柳田國男氏は、海岸に流れ着いたヤシの実を目にして、日本人の祖先は黒潮に乗って南方の海から沖縄の島伝いに日本列島にやってきたのではないかと考えた。 だが琉球列島を流れる「黒潮」は、幅最大100キロ、秒速1~2メートルという世界でも有数の海流で、ついでに水平線の向こうに陸地が見えないような海峡もある。そのような海を流れに身を任