ロシアでは、共産主義に代わる新たな国家理念として「主権民主主義」のイデオロギーが大統領府副長官のウラジスラフ・スルコフによって唱えられ、それを巡って議論が展開されている。スルコフはこの理念を2005年に最初に述べたが、07年の2月に統一ロシアの会合で、また07年6月には科学アカデミー幹部会で講演して、内容をより明確にした。その内容を要約すると次のようになる。 ロシアの民主主義は、ナショナルな国家性とロシアの伝統的文化の上に構築され、新たな政治制度は特殊ロシア的な性格を有する。ロシアの文化認識は全体論的、直観的、反機械論的である。つまり分析より総合、実利より理念、論理より形象、理性より直観、部分より全体が優越している。この考えは、現実政治の特性を決める公理である。ロシア政治文化の3つの特徴は、(1)「中央集権」による政治的全体性の志向、(2)政治目的の「理念化」、(3)政治制度の「人格化」、