飲食店やホテルなどの厨房(ちゅうぼう)がロボットの進出先として注目されている。厨房はその店のエネルギーや人材、食材、情報が集中する場だ。オーブンや飲料ディスペンサー、食器洗浄機などの専用機器をスタッフが使いこなし、徹底的に効率が高められてきた。ここにロボットアームをただ導入しても費用対効果で勝てない。そこで厨房機器メーカーとロボットベンチャーが組み、現実的な導入シーンを模索している。厨房という巨大市場をこじ開けられるか。(取材=小寺貴之) ■動線の最適化につなげる 食洗機から食器片付け 「厨房は人や食材、器などの動線をきれいに設計しないと効率が上がらない。一つの作業の自動化ではなく、人とロボ、厨房機器を含めた全体を最適化する必要がある」。タニコー(東京都品川区)の谷口一郎会長(日本厨房工業会会長)はロボット導入の難しさをこう説明する。厨房は専用機と熟練スタッフの組み合わせで高い生産性を維持