悪女。偽装自殺。容疑者多数──わかりやすいストーリーだが、進むにつれて事件は拡がりを見せる。ここが作者の特徴なのかなと思う。糸口は小さいのだが、探るうちに事案は複雑になり、人物たちの思惑と絡まってどんどん事件は肥大化していくという展開。過去二作はここに社会性のテーマを反映させてきたが、本作品はもっと単純でシンプル。 オリヴァーとピアは魅力的なキャラクターだが、そこまで主張してくるタイプではないので、周りの悪役たちが映えて見える。「そこまでするか」と感じても、徹底して描いてあるから逆にリアリティがあるような。被害者と加害者の描き方が極端で、気付けば悪役だけになってる展開も含め、吸引力が強く最後まで真相がよめなかった。 ミステリとしての着地はバタバタ気味。デビュー作としての雑っぽさもあるけれど、サスペンスとして大変面白く読めたので、評価はやや甘め。私にとって安定のシリーズです。次は第二弾になる
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