先日、3月21日から公開されているスタジオジブリ宮崎駿監督の新作短編『毛虫のボロ』を観る機会を得た。 過日、鈴木敏夫さんにお話を伺ったご縁もあり、そのメディア先行試写会にご招待いただいたからだ。 物語はボロが卵から孵る前後から始まる 毛虫の視点では世界がどう見えるのだろう?──そんな突拍子もないテーマで描かれる本作の本編映像はたったの14分と少々。しかし、その中に盛り込まれた、これでもかというほどの宮崎監督のイマジネーションは圧巻のひと言。少し大げさな言いかたをすれば、ある意味で、宮崎監督のクリエイティビティの神髄を見た気がした。 どういうことか? というのも、筆者も職業柄いろいろな映像を観る機会が多いわけだが、映画やゲームを始め、さまざまな(それでいて豪華な)映像が溢れる昨今にあって、この『毛虫のボロ』は、“本当の意味で贅沢な作品”に思えたからだ。 そもそも、世の中の商業エンターテイメン