(2013年7月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) アジアには大きな疑問が1つある。この問題は、東京や北京、ニューデリー、ソウルで聞かれるし、これらの国々の間に存在する大半の国でも聞かれる。バラク・オバマ大統領のいわゆるアジアへのピボット(旋回)は結構だが、中長期的に見た場合、米国にはアジアにとどまる力が本当にあるのか――という疑問だ。 確実な答えは誰も持っていない。だが、それで憶測がやむわけではない。 超大国・米国の勢力の行方 確実なことが存在しないなかでは、認識は確かな証拠と同じくらい意味を持つ。米国が太平洋に常駐する大国としてどれくらい長く地域にとどまるかという計算によって、この地域のほぼすべての政府の行動が決まってくる。今後数十年の米国の勢力の行方がどこよりも活発に議論されているのが北京だ。 中国は、どれほど早く、どれほど遠くまで勢力を拡大できるか試している。日本は、中国を押