『滝山コミューン一九七四』のつづき。 そうそう,原武史なら鉄道は外せないところだが,はい,あちこちに列車の話が登場してますよ。 やはり彼の人生どこを語っても鉄道ナシ,とはいかないんでしょう。 ふふふ。 なかでも,新宿駅に停車していた「松本ゆき列車」の話はこの『滝山コミューン』の出口を示す挿話であるように思えます。 少し触れておきましょう。 それは,塾通いを始めた原少年が出会った新宿駅に停車していた「松本ゆき普通423列車」。 70年代初頭の新宿駅で,原は戦前製の客車に出会う。 車内で弁当を食べることを思いつき,毎週「必ず,ホームの端から端まで歩いてすべての車両を品定めし,最も古そうな車両に乗り込んだ」。 なんとも鉄道ファンらしいが,それはただ珍しい車両に乗りたい欲望だけではなかっただろう。 「その明かりは,見慣れた蛍光灯とは全く異なっていた。薄汚れた窓枠は,この客車がSLに長らく引かれた過