しばらく「マガジン9」の連載をお休みしていました。身辺にいろいろな出来事が重なり、あまり文章を書く気が起きなかった。でも、いつまでも地の底に沈みこんでいるわけにもいかない。考えることはそれなりにある。 というわけで、また新連載でコラムを始めることにします。よろしければ、またおつき合いください。 ぼくが言葉にこだわる理由 ぼくはずいぶん長い間、出版社で雑誌や書籍の編集という仕事をしてきた。最初は雑誌部門で、自分で取材し自ら原稿を書いた。それから編集長になって、スタッフの原稿を読んでチェックするのが主となった。 さらに、単行本や文庫のセクションに移り、最後は新書編集部の責任者となった。そうなると、ほとんど毎日、他人の原稿を読むのが仕事になる。いったい、どれくらいの原稿を読んだことだろう? 特に新書編集部では、毎日(400字詰め原稿用紙に換算して)数百枚の生原稿を読んでいたと思う。 玉石混交。い