タグ

ブックマーク / hirokimochizuki.hatenablog.com (11)

  • 鈴木謙介氏の整理に沿ってーー経産省「次官・若手ペーパー」論(3) - 望月優大のブログ

    社会学者の鈴木謙介氏が件のペーパーをもとに始まった議論に対してある種の総括(?)的なブログ記事を書かれていた。鈴木氏のことは昔から尊敬しており、過去に氏の著作のいくつかを読んできたのはもちろんのこと、講演を聞きにいったこともある。記事中で私のブログも紹介くださっていたので、勝手に胸をお借りする気持ちになってアンサーブログという形でまとめておきたい。 私の過去記事はこちら。 鈴木氏の趣旨は明快で、記事タイトルの「選択肢を理解する」の通りである。すなわち「どこに論点の中心があって、何が対立していて、そして僕たちに示されているのはどのような選択肢なのかということが明らかになっていない」ので、それを明らかにしようということである。 私も二目の記事で「どこに国家観や政治思想上の大きな分岐が走っているかを正しく認識したうえで自分の思考を深めてみていただければと思う」と書いていたが、それと基的に同趣

    鈴木謙介氏の整理に沿ってーー経産省「次官・若手ペーパー」論(3) - 望月優大のブログ
  • 経産省「次官・若手ペーパー」に対するある一つの「擬似的な批判」をめぐって - 望月優大のブログ

    先日こちらのエントリを書いたところかなり大きな反響があった。 その後、件の「次官・若手ペーパー」に対する応答が他所からもいくつかなされていたが、そのなかに渡瀬裕哉氏という方によるかなり強めの批判記事があった。この方のことは存じ上げなかったが、私とはだいぶスタンスの違う議論をされているようなので、自分の立ち位置を明確にするためにも簡単に取り上げさせていただく。(なお、今回も前回記事と同様、個人の人格に対する攻撃を行う意図は微塵もなく、議論の整理が目的であることを明記する。) 「時代遅れのエリートが作ったゴミ」発言者に訊く!若手経産官僚のペーパーに感じた違和感とは。 | 一般社団法人ユースデモクラシー推進機構 どんな方か知らない方もいらっしゃるかもしれないので、プロフィールを上記の記事より転載する。読むに、ティーパーティー運動にシンパシーのあるリバタリアン的な志向性をもった方なのであろう。 渡

    経産省「次官・若手ペーパー」に対するある一つの「擬似的な批判」をめぐって - 望月優大のブログ
  • 経産省「次官・若手ペーパー」に対する元同僚からの応答 - 望月優大のブログ

    経済産業省の「次官・若手プロジェクト」によるペーパーが話題になっていた。私自身、新卒時に同省で働いていたのだが、このペーパーの作成に私の(個人的に親しい)同期なども関わっているようだ。 不安な個人、立ちすくむ国家 〜モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか〜 平成29年5月 次官・若手プロジェクト | 産業構造審議会総会(第20回)‐配布資料 | 経済産業省 したがって、以下に述べていくことについては、このプロジェクトの参加メンバーに対する人格攻撃の意味合いをまったく持たず、このペーパーが提案する国家観及び社会像そのものに対して応答していくものである。あらかじめ述べておくが、私の意見の基調は「反論」のそれである。しかし繰り返しになるが、その目的は特定の誰かへの攻撃ではなく、政府が発表しかつ社会的に話題になっている資料について、そこでなされている議論の整理と、別の視点を提供することだけをこの文

    経産省「次官・若手ペーパー」に対する元同僚からの応答 - 望月優大のブログ
  • 「ラストベルトの反乱」という神話。白人労働者たちがトランプに寝返ったというのは本当か。 - 望月優大のブログ

    Slateに「ラストベルトの反乱という神話」という記事があがっていました。面白い記事だったので内容を紹介します。著者は南カリフォルニア大学法学部の教授とヨーク大学博士課程の学生の二人です。 The myth of the Rust Belt revolt. トランプが勝った理由、クリントンが負けた理由として、白人労働者階級の反乱が頻繁に語られました。すなわち現状に不満を抱える白人労働者たちによる民主党から共和党への寝返りが起きたのではないか、というストーリーです。 特に地理的には「ラストベルト rust belt」と呼ばれる、カナダに近い中西部から大西洋岸にわたって広がるかつての工業地帯でこうした反乱が集中的に起こり、それがトランプの勝利を帰結したのではないか、という考えが多く語られました。 改めてアメリカの州名を眺めてみる 先の記事では、2012年と2016年の両大統領選挙における、アイ

    「ラストベルトの反乱」という神話。白人労働者たちがトランプに寝返ったというのは本当か。 - 望月優大のブログ
  • ドナルド・トランプの勝利と「新しい世界」について - 望月優大のブログ

    先日のアメリカ大統領選でドナルド・トランプが勝利したという出来事について、アメリカにおける人種・エスニシティの問題、そして移民問題という視点から振り返ってみたいと思います。 そうするのは、それらの問題がこの選挙において最も根的であると私が考えているからであり、ジェンダーや所得、居住地域など、他にもありうる幾つかの視点の一つという位置付けではありません。最も根的な意味で、この選挙において重要だったのは人種・エスニシティであり、移民の問題であったと私は考えています。 この記事では以下の順序で話を進めていければと思います。 誰がトランプに投票したのか? 白人の民主党離れとクリントンが勝てなかった理由 ドナルド・トランプの勝利と「新しい世界」について 少し長くなりますが、お付き合いいただけたら嬉しく思います。 1. 誰がトランプに投票したのか? トランプ勝利のニュースの後、色々な人たちがトラン

    ドナルド・トランプの勝利と「新しい世界」について - 望月優大のブログ
  • 日本の貧困は「降格する貧困」に近づいている。セルジュ・ポーガム『貧困の基本形態』講演から。 - 望月優大のブログ

    「はしごの下にいるんだよ。それ以外におれたちが誰なのかをはっきりさせる言葉があるのか。おれたちははしごの下にいて、うやわず、それだけさ。おれたちのための言葉なんてない。はしごの下には工員がいて……やがて上に上がっていく。でも、おれたちは?失業者じゃない、工員じゃない、何でもない、存在しないんだよ!社会の乞だ。それがすべてさ。何者でもないんだ!」(工場勤務歴20年以上の41歳RMI受給者の語り) セルジュ・ポーガム『貧困の基形態』終章の冒頭に掲げられたエピグラフ 10/22に現代フランスを代表する社会学者であり、貧困の社会学で有名なセルジュ・ポーガム教授の講演に行きました。講演のタイトルは「貧困の基形態 日的特殊性の有無について」となっており、今年日語訳された『貧困の基形態』のタイトルをそのまま掲げつつ、さらに日貧困についても語ることが期待されました。 日仏会館フランス事

    日本の貧困は「降格する貧困」に近づいている。セルジュ・ポーガム『貧困の基本形態』講演から。 - 望月優大のブログ
  • 「性器の傷跡を見ればどのグループの仕業かわかる」デニ・ムクウェゲ医師がコンゴの紛争資源と組織的性暴力について語ったこと - 望月優大のブログ

    「性器の傷跡を見ればどのグループの仕業かわかる」 コンゴのデニ・ムクウェゲ医師の講演を聞いて、この言葉が今も頭に残っています。その背景にどういう意味、そして社会的な構造があるか、自分に理解できた範囲で共有できればと思います。 デニ・ムクウェゲ医師 ムクウェゲ医師はコンゴ民主共和国(DRC ; Democratic Republic of Congo)の医師でノーベル平和賞の命とも言われています。コンゴの現状を伝えるアドボカシーのために世界を回っており、その途上でいま日に来ています。10/4に東京大学で行われた講演会を聞きに行ってきました。 デニ・ムクウェゲ医師講演会:コンゴ東部における性暴力と紛争鉱物 | イベント | 東京大学 ムクウェゲ医師及びムクウェゲ医師の日招聘に尽力された方々によるアドボカシー活動にほんの少しでも貢献できればと思い、このエントリを書いています。 米川正子氏に

    「性器の傷跡を見ればどのグループの仕業かわかる」デニ・ムクウェゲ医師がコンゴの紛争資源と組織的性暴力について語ったこと - 望月優大のブログ
  • 富める国の不平等。稲葉振一郎『不平等との闘い』を読んで。 - 望月優大のブログ

    一般の方で稲葉振一郎先生のことを知っている方はあまり多くないかもしれませんが、これを機にぜひ知っていただきたいと思う学者の方です。特筆すべきは、経済学、社会学、政治理論など様々な学問領域を架橋する学際性、加えて専門性を落とすことなく一般の人でも読める文章・ストーリーに転換していく構成力だと思います。 そして、最新刊『不平等との闘い ルソーからピケティまで』もそうした稲葉先生らしさが存分に発揮された快作でした。トマ・ピケティ『21世紀の資』のベストセラーも記憶に新しいですが、近年経済学の内外で「先進国」における格差や貧困が理論的・実証的に取り組むべきテーマとして浮上しているというのです。 学問的な議論を離れても、長引く不況のなかで子どもの貧困や奨学金の返済問題、保育士・介護士の待遇問題への注目が集まったり、年金不安や生活保護へのバッシングなど、国内の経済格差、不平等に関するテーマへの関心は

    富める国の不平等。稲葉振一郎『不平等との闘い』を読んで。 - 望月優大のブログ
  • 名門大学の卒業生に向けてオバマが語ったこと。 - 望月優大のブログ

    オバマ大統領が名門ラトガース大学の卒業生に贈ったスピーチが素晴らしかったので紹介します。既出の報道ではトランプ批判的な文脈が強調されていましたが、それを差し置いてもとても良い内容でした。40分超のスピーチを全文取り上げるのは難しいので、後半部分から3つのパートだけ紹介します。※文脈とりづらい箇所は文意を変えない範囲で削っています。(全文はこちら) (White Houseより) 統治者の資質と市民の資質。知性について。 トランプ現象に暗に言及しているパートの一つです。ただ、統治者や政治家だけでなく、一般の市民について語っているところがオバマ大統領らしいと思いました。 事実、エビデンス、理性、論理、科学の理解。これらは良いものです。これらは政策をつくる人々に私たちが求める資質です。そして、これらの資質は、市民としての私たち自身のなかで、ずっと耕し続けたい資質でもあります。それは明らかだと思い

    名門大学の卒業生に向けてオバマが語ったこと。 - 望月優大のブログ
  • イランは危険で、飯がまずくて、カルチャーも歴史もないただのでかい砂漠だ。だからDON'T GO TO IRAN。 - 望月優大のブログ

    DON'T GO TO IRAN。直訳すると「イランに行くな」ってタイトルの動画なのですが、Twitterで流れてきて観た瞬間、「うおおイラン行きたい!」ってなりました。学生のころ北西部に数日行ったきりなのでまた行きたい。 イランってこんなところにあって、アフガニスタンとイラクに挟まれている・・・そしてイラクの先にはシリア。実は北西部がトルコと国境を接していて、このあたりはイラクやシリア、トルコにまたがってクルド人がたくさん居住しているエリアです(ここの陸路国境越えはつらかった・・) 。 (Google Mapsより) ほかにも東にパキスタンやトルクメニスタン、西にアゼルバイジャンなんかとも国境を接しているんですね。ペルシャ湾を挟んでサウジアラビアやUAEなどのアラブ諸国ともかなり近い。数ヶ月前にサウジと断交!ってかなり緊張が高まってましたがあれどうなったのだろう。ちなみにイランはアラブで

    イランは危険で、飯がまずくて、カルチャーも歴史もないただのでかい砂漠だ。だからDON'T GO TO IRAN。 - 望月優大のブログ
  • 自分の頭で安全保障を考える。井上達夫『憲法の涙』を読んで。 - 望月優大のブログ

    憲法が注目を集めている。直接的には、現政権による憲法九条の解釈改憲とそれに対する国会前デモを含む広範な批判、そして来る参院選の結果如何では自民党が視野に入れる憲法改正の現実味がいや増すという状況がある。 さて、いわゆる安保法制への批判の文脈では主に「戦争反対」の立場から「立憲主義」の重要性が召還され、それを軽視するような政権への批判が繰り広げられる。彼らの言い分としては、ときの政権を縛る、より上位の命令としての憲法という存在を横目に、現政権は白昼堂々と違憲である安保法制を通してしまった。彼らがデモでコールする「憲法守れ」は、「戦争反対」のコールと実質的には同義だ。 ご存知の通り、そこでの争点は「集団的自衛権」の行使が合憲か否かだということになっている。しかし、質的な論点は全くそこではないのではないか、そう東大法哲学の超大物教授が真っ正面から社会に問いかけたのがこの新刊『憲法の涙』である。

    自分の頭で安全保障を考える。井上達夫『憲法の涙』を読んで。 - 望月優大のブログ
  • 1