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科学的には、グルタミン酸ナトリウムを常識的に食べる量であれば安全とされています(食品安全委員会の資料「食べ物の基礎知識」参照)。 味覚障害を引き起こすとの説も、後述しますが根拠はあやふや。あり得ない、という見方が科学者の大勢です。なのに、消費者の中には嫌う人が多い。その現象は世界で見られ、アメリカでもno-MSGとパッケージに大きく書いた食品が売られています。どうして誤解されているのでしょうか? 味の素社がこの問題と正面から向き合い、世界へ正しい情報発信をしようと9月20、21日、ニューヨーク・マンハッタンのホテルでフォーラムを開きました。 シェフや栄養士、メディア関係者、それに世界各国の味の素現地法人から社員や協力者、オピニオンリーダーなど約200人が集まり、講演やパネルディスカッションが行われました。 日本企業が海外で開くこの手のイベントは、日本国内で「海外で開催しました」と言って箔を
寿司は、昔からある大きな日本文化の一つといえる。でも、寿司を作る職人の世界は男性が占めているもので、女性寿司職人を見ることはなかなかない。 そんな中、 パイオニアとして突き進んでいる女性寿司職人がいる。 東京・秋葉原にある「なでしこ寿司」で店長をつとめている千津井由貴さんだ。 強みは寿司の美しさ 「なでしこ寿司」は女性職人が本格的な江戸前寿司を握る寿司店である。女性職人だけを揃えた寿司店は日本初であり、2010年に開店した時も業界をざわつかせた。 千津井さんは、オープン前に雇われ、現在は店長として板場に立ち、一人で築地へ仕入れにも行く。 千津井さんが握る寿司の一番の強みは、その見た目の美しさだ。もともと美術大学でグラフィックデザインを専攻しており、それが寿司ととても似ていると言う。 「例えば日本の国旗はとてもシンプルな要素で作られていますが、そこにどれくらいの意味があるのかをパッと表してい
2014年:1924人、2015年:1803人、2016年:985人——。この社会から消えていく失踪者の数を推測するデータである。 まったく着目されてこなかった数字が「失踪」を読み解く鍵になる。 「行方不明者は年間8万人以上…」と表現されることが多い。これは正確ではない。多くの場合、行方不明者はすぐに発見されているからだ。 年間の行方不明者届から、所在が確認できなった人の数を引く。つまり本当に行方がわからない「失踪者」の数が冒頭の数字だ。 より正確にいえば、「失踪者」の中には届出をしない人たちもいるので、失踪者の数を推測する一つの指標である。 少なくとも2000人近い人がある日、忽然と姿を消している。この社会のもう一つの現実を示す数字だ。 背景に何があるのか。1冊の本が注目されている。1985年生まれの気鋭の社会学者、中森弘樹さんによる『失踪の社会学』(慶應義塾大学出版会)だ。 研究テーマ
海外の一流科学誌「ネイチャー」 HPVワクチンの安全性を検証してきた医師・ジャーナリストの村中璃子さんを表彰ネイチャーは日本の状況を、「このワクチンの信頼性を貶める誤った情報キャンペーンが全国的に繰り広げられた」と厳しく批判。 ネイチャーは、HPVワクチンについて、「子宮頸がんやその他のがんを防ぐ鍵として、科学界や医療界で認められ、WHO(世界保健機関)に支持されている」と評価。 その上で、 「In Japan the vaccine has been subject to a national misinformation campaign to discredit its benefits,resulting in vaccination rates falling from 70% to less than 1%(日本においては、このワクチンの信頼性を貶める誤った情報キャンペーンが全
令状なしのGPS捜査を違法とする最高裁判決を勝ち取り、ダンスクラブの風営法違反事件などで無罪判決を得てきた気鋭の弁護士、亀石倫子さん(43)。大学の英文科を卒業後、OLから転身した異色の経歴の持ち主だ。集団になじめず、「何者にもなれない」自分に苦悩した日々を振り返り、「一人を恐れず、自由に生きよう」と語る。 ――医師免許なしにタトゥーを入れたとして、彫り師が医師法違反の罪に問われた裁判で主任弁護人を務めています。大阪地裁で有罪判決が下された日の夜、彫り師らとの懇親会の席で涙を拭っていましたね。 おしぼりを顔に当てて、思いっきり泣きました。無罪判決を得て、彫り師さんたちの喜ぶ顔、安心する顔が見たかった。 弁護士になってから、あんな風に人前で泣いたのは初めてかも。一番泣きたいのは彫り師の人たちなのに、お前が泣いてどうするんだって感じですよね。 人前で泣く女の人のこと、普段けちょんけちょんに言っ
2016年、クリスマスの数日前のこと。かかってきた電話は、それまで誰も予想できなかったような内容だった。 シーナ・マコーマック教授は、HIVウィルスを追跡し、それと闘うことに生涯を捧げてきた疫学者であり、世界でもっとも高い評価を受けるHIV専門医だ。マコーマック教授はその日、電話の相手に対して、トップニュース級のメッセージを伝えた。この12カ月間で、HIV感染症の診断を受ける男性同性愛者の数が40パーセント、イングランド全域では3分の1も減ったという知らせだ。 HIVウィルスが発見されてから35年以上が経つが、これほど大幅に減るのは異例のことだ。このあまりにも大きい数字は、医学界では驚きを通り越して虚偽にさえ見えてしまう。だが、この数字は本当だった。 この物語の背景には、秘密裏に何度か行われた会合と、人々のネットワークがあった。その中心にいたのは、ある男性だ。医学の歴史が変わった陰には、人
1998年6月6日。無料で読めるウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」がスタートしたこの日が「ほぼ日」の誕生日である。 1980年代、時代の最先端にいたコピーライターは流行らなくなった「糸井重里」を見つめ直し、新たな表現の場をインターネットに求めた。 「もうインターネットビジネスは出尽くしている」「いまさらやるの?」。 周囲の懐疑的な声を押し切ってはじめたウェブサイトは、続けているうちに「ほぼ日手帳」などヒット商品を生みだす「場」に育ち、ついに企業名になった。 2017年3月16日の上場で「ほぼ日」は変わったのか。 糸井さんが口を開く。 本当は変わってないんですけど、いちばん大きいのは、ぼくがほんとうの意味で社長になったということです(笑)。 上場したあと、ぼくのなかに「おじさん」と「お父さん」両方の成分があるということにあらためて気づいたんです。 ぼくは、どちらかというと、いままで映画にでて
3つの革命1万2千年前、狩猟採集から農耕への移行「農業革命」が起きた。ハラリ氏は、人類の生活は豊かになったという解釈は偏っており「史上最大の詐欺だった」と主張する。 「どの観点から見るかで変わります。たしかに農業革命によって人間は大きな集団的な力を得ました。都市、国、帝国といった集団ができました。貿易、経済成長、技術革新も生まれました」 単位面積当たりに得られる食物は増え、人類の数は指数的に増えた。 「一部のエリート、例えば、王、牧師、王侯貴族といったような人々の生活は、非常に改善されました。歴史は、そうした一部の王侯貴族の見方や、人間の集団的なパワーという観点から述べられます。そうした場合、農業革命は大きな前進だったと言えます」 ただ、大半の人たちにとって、生活の質は悪化したという。 「人間の体や脳は、木に登ったり、動物を追ったりという狩猟採集生活に適応するように発達してきました」 「と
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