2023年11月22日にオランダで行われた総選挙で驚くべき出来事が起きた。度重なる反イスラム発言で世間を賑わせてきたヘルト・ウィルダース率いる自由党(PVV)が150議席中37議席(得票率23.49%)を獲得し、議会最大の党となったのだ。 過半数には76議席必要であり、自由党と連立を組みたいという党が少ないことから、ウィルダースが実質的に政権を運営するかどうかは疑わしい。だが、大っぴらに反イスラムで反EU、さらには反環境の立場を明確にとる党が、オランダというリベラルな国で支持されるということ自体が急激に排外的になる世界の傾向を表しているといってもよいだろう。 その10日前に発表されたウィルダースの元同僚の「信仰告白」が、こうした傾向をすでに示唆していたといっても過言ではない。元同僚の名はアヤーン・ヒルシ・アリ。日本でも彼女の自伝『もう、服従しない』(原題はInfidel [背教者] 200