帰国したインドネシア人技能実習生とインターネットで勉強会をする農園がある。目指すのは地域の農村のリーダーだ。中国人留学生が漁協の女性と一緒に働く食堂がある。コミュニティーに溶け込み、見えたのは日中両国の女性に共通する笑いや豪快な話しぶりだった。国と国が理解し合うのは難しい。それでも、国を越えてつながろうと奮闘する姿を届ける。 ビニールハウスが並ぶ福井市の「農園たや」は昼休み、片隅にある事務所がインドネシア語で授業する教室に変わる。指導するのは代表の田谷徹(たや・とおる)さん(41)。青年海外協力隊員の経験を生かし、20代の技能実習生3人と互いに学び合う日々を過ごす。伝えたい思いは一つ。「農業で母国の地域リーダーになれ」 実習2年目のインドネシア人イマンさん(23)が、授業で1カ月の活動報告をした日。真剣な目で身ぶりを交え、田谷さんが資料に指摘を入れる。時折冗談を挟み議論は1時間余りに及んだ