スイス国立銀行(中央銀行)は15日、過去3年半の間設定していたスイスフランの対ユーロ相場の上限を撤廃すると発表し、市場に衝撃を与えた。 スイス中銀当局者はここ数ヵ月間、フランの対ユーロ上限を死守すると繰り返し表明してきた。上限設定は、ユーロの混乱からスイスの輸出依存型経済を守るとともに、デフレの恐れを抑えることを狙ったものだった。 しかし、同中銀がフランの対ユーロ高の行き過ぎを食い止めるためにユーロを中心とする非フラン通貨建て資産を購入するコストとリスクが、あまりに大きくなってきた。上限撤廃を受けてフランは急騰し、スイス中銀の信頼性に対する疑問が高まっている。 今回の措置をめぐる疑問点を5つ取り上げ、それぞれ答えを示そう。 Q:スイス中銀はなぜフランの上限を設定したか A:ユーロ危機に際して、以前から有事には安全な資金逃避先とみられてきたフランの対ユーロ相場は急騰し、ユーロ圏向け