スポーツ界の暴力やハラスメントが後を絶たない。暴力は許さないとの意識を社会全体で高め、根絶への歩みをもっと進めたい。 日本スポーツ協会が設けた窓口への相談件数が2023年度、統計開始の14年度以降最多の485件に上った。前年度より100件余り増えた。 暴力や暴言などの撲滅を目指す活動や相談窓口の認知度の向上で、問題が表面化されやすくなったとされる。だが、不適切な指導が根強く残る現実を見過ごすことはできない。 内訳で見ると、暴力が15年度をピークに減少する一方、暴言は増加傾向が続き、前年度から微増の39%と最も多かった。パワーハラスメントと合わせると約6割を占める。 12年の大阪市立高校バスケットボール部員が体罰を受けて自殺した事件や翌年発覚した柔道女子代表の暴力指導問題を機に、国内のスポーツ団体は13年に「暴力行為根絶宣言」を採択した。以降、暴力は許されないとの認識が社会に広まってきた。