日本に紙のお金が登場したのは1600年ごろ、伊勢山田地方(現三重県伊勢市)の商人たちが「山田羽書(はがき)」という名で発行した銀貨の預かり証が最初とされる。縦長でお札(ふだ)のような形だが、いつでも銀貨と引き換えられる信用があったので、江戸時代を通じて使われた。 その後、各地の大名が領内で通用する紙幣として発行した藩札はうまくいかなかった。藩財政水増しのため、しばしば通用価値が切り下げられたからだ。ある日突然、価値が下がるようなお金は誰も持ちたくない。 紙幣の登場から約400年。今や見えないお金が飛び交う時代になった。「エディ」「スイカ」といった電子マネーは、お金の姿は見えなくても、前払いした金額をいつでも額面通り使える信用が肝心だ。 店のレジや改札機の端末に1秒ほどかざせば支払いが済む。法律の定めがないので厳密には「貨幣」でないものの、速く、便利な決済手段として爆発的に利用が増えている。