★★★☆☆(評者)池田信夫 ポスト社会主義の政治経済学―体制転換20年のハンガリー:旧体制の変化と継続 著者:盛田 常夫 販売元:日本評論社 発売日:2010-01 クチコミを見る 民主党政権は、郵政国営化にみられるように社会主義への道を歩んでいるが、国家が経済を管理するとどれほど恐ろしいことになるかを見た人は少ないだろう。本書はハンガリーの社会主義とその崩壊を見た著者による証言である。 理論的には、社会主義は効率的に機能する可能性があり、新古典派経済学は分権的社会主義にもっともよく当てはまる。しかし実際の社会主義は、こういう「計画経済」とはまったく無縁の原始的なものだった。官僚には経済理論なんか理解できないので、彼らのとった手法は物財バランス法とよばれる、紙と鉛筆と電話で需給調整を行なうものだった。 これはマルクスの再生産表式を応用したもので、レオンチェフの投入産出分析の原型だが、初期に
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