「問いかけに答えてください」を問い続ける菅義偉首相の会見を見ていると、彼は、奇妙なところで笑みを浮かべる。ちっとも面白いところではないのに笑う。スベったとか、意図が伝わらなかったとか、ではない。強張っていた顔がほぐれるタイミングが、おおよそ奇妙なのだ。 手元に、『月刊Hanada』2021年9月号がある。「独占インタビュー 菅義偉総理大臣 国民の疑問に答えます」と題した、13ページにわたるロングインタビューが掲載されている。とにかく、「(笑)」がしょっちゅう出てくる。この「(笑)」表記というのは、どれくらいの笑いなら入れるかなど、なにかしらの基準があるわけではない。自分はしょっちゅう、編集者から送られてきたインタビュー・対談原稿にある「(笑)」を取り除いているのだが、なぜならば、その「(笑)」の受け止め方は、読み手によって異なるから、慎重になるのだ。
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