気分を変えたかった。 そこでバルコニーへ出て仕事を執り行おうとしたのだが、これは完全に裏目に出てしまった。 あまりにも天気がよすぎる。 抜けるような青い空と風に揺れる緑豊かな木々を見ていると、自分はなぜこんなにもくだらない執務にとらわれているのかと、さらに憂鬱な気分にさせられる。 「また愚痴が出そうですな」 「先手を打たないでくれ」 他人事のようにオトマルが笑っている。もっとも仕事の量だけを比べれば、彼のほうが多いくらいなのだが。 「そんなに気分転換したいのなら、例の弓兵隊の訓練でもご視察なさいますか」 フェリクスの瞳がぎらりと輝いた。 「どこでやってるんだ? どこまで進んでいる?」 「西の平原です。新しく徴兵した分も|交(ま)ざっているのでまだまだですが、それなりの形は出来上がりつつあります」 「|訓練の交代制|(、、)を導入したんだったな」 「一般の兵士たちは、普段それぞれ自分の仕事を