北京オリンピックも8月24日、ついに幕を閉じた。8月8日からの17日間、スポーツの祭典としては前例のないほど壮大、華麗、そして躍動に満ちあふれた催しだった。閉会式だけをみても、これでもか、これでもか、と色彩豊かな人の海が巨大な動くモザイクをつぎつぎに創り出し、目をみはらせる映像やメッセージを描き出す。まさに中華人民共和国の威信の一大デモンストレーションだった。 しかしそれ以上に、北京五輪というのはその開催が2001年に決まってからの7年間、全世界にさまざまな波紋を広げてきた。政治的な論議の焦点ともなってきた。その論議とは簡単にいえば、国民の基本的な人権を抑制し、民主主義や宗教を弾圧する一党独裁国家が「平和と友好の祭典」であるはずのオリンピックを主催する資格があるのか――という点をめぐっての是非論だった。 今回の北京五輪を純粋なスポーツ行事だけとしてみるならば、その結果は成功だったといえ