【カイロ=大内清】混乱が続くエジプトのスレイマン副大統領は11日テレビ演説を行い、同国を約30年にわたって統治してきたムバラク大統領が辞任したと発表した。AP通信など複数のメディアは、ムバラク大統領が首都のカイロを出て、東部シナイ半島の保養地、シャルムエルシェイクに滞在していると報じた。チュニジアで1月に起きた民衆蜂起による政変がエジプトにも飛び火、同月25日から各地でムバラク氏の退陣を求める大規模な反政府デモが続いていた。ムバラク氏は次の大統領選への不出馬を表明する一方、即時退陣は拒否していたが、内外の辞任圧力に抗しきれなかった格好だ。 移行体制は軍部やスレイマン副大統領を中心に協議が行われる見通し。地域大国エジプトの政権崩壊は他のアラブ諸国にも大きな影響を与えそうだ。 政府当局は1月28日以降、カイロなど主要都市に夜間外出禁止令を出し、インターネットなどを一時遮断してデモを押さえ込もう
【カイロ和田浩明】エジプトのムバラク大統領が10日夜の演説で辞任を拒否したことは、国内外で大きな驚きをもって迎えられた。直前に首相らの「辞任予想」が報じられ、米中央情報局(CIA)長官すら「退陣の方向」と発言していたからだ。予想外の展開の背景には、国政への影響力を拡大する軍内部の確執もちらつく。11日には即時辞任を求めるデモが再び数十万人規模に膨れ上がり、大統領や側近の現状認識や対応能力に対する疑念も拡大した。 「シャフィク首相がムバラク大統領辞任の可能性に言及」とBBCアラビア語放送が報じたのは演説の約5時間前。続いて米NBCニュースやCNNも同趣旨の速報を流した。 これに先立ち開会された国軍の最高評議会には、本来の議長役であるムバラク氏や、スレイマン副大統領は出席していなかった。このため「ムバラク氏が辞任し軍部が実権を掌握するのでは」との情報も駆け巡った。 しかし、中東の衛星放送アルア
カイロのタハリール広場で10日、ムバラク大統領の演説内容に怒りを示す市民たち=越田省吾撮影カイロのタハリール広場で10日、ムバラク大統領の演説に落胆する市民たち=越田省吾撮影 【カイロ=貫洞欣寛】エジプトのムバラク大統領は10日夜(日本時間11日朝)、テレビ演説し、大統領としての権限をスレイマン副大統領に移譲する、と発表した。 即時退陣を求めるデモの要求に対し、事実上の辞任に応じた形だ。ただ、大統領の地位には引き続きとどまる意向を示したため、デモ側は強く反発している。 エジプトでは30年にわたり強権支配を続けてきたムバラク氏に対し、即時退陣を求める市民デモが3週間近く続いている。ムバラク氏は「市民の要求は正当である」と述べ、一連のデモの犠牲者とその家族に哀悼の意を示した。 一方、「外国の圧力には屈しない」と述べ、政権の早期移行を求める米国に反発。「私はこの国で生まれ、この国で死ぬ」
【カイロ=貫洞欣寛】ムバラク大統領の即時退陣を求める市民デモが続くエジプトの与党・国民民主党(NDP)のバドラウイ幹事長は10日、ムバラク大統領が権限をスレイマン副大統領に移譲すると語り、大統領が辞任する見通しであることを明らかにした。英BBCなどは、ムバラク氏が10日夜(日本時間11日未明)にも声明を出して発表すると報じている。 ムバラク体制を支えてきたエジプト軍は10日夕、「軍の最高評議会は、祖国を防衛し、市民の正当な熱望に応じるため、今後も協議を続けることを決めた」とする「声明第1号」を発表。市民デモが続く中、軍部を中心に権限移譲と、治安維持の方策などの協議が続いている。衛星テレビ局アルジャジーラなどによると、デモが続くカイロ中心部のタハリール広場で、軍の幹部指揮官が同日、デモを続ける市民らに「みなさんの要求は満たされることになる」と述べた。 バドラウイ幹事長は国営テレビで「ムバ
エジプト・カイロ(Cairo)のタハリール広場(Tahrir Square)で抗議活動を続ける反政府デモ参加者ら(2011年2月9日撮影)。(c)AFP/MOHAMMED ABED 【2月10日 AFP】エジプトのアハメド・アリ・アブルゲイト(Ahmed Ali Abul Gheit)外相は9日、衛星テレビ局アルアラビア(Al-Arabiya)のインタビューで、ホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)大統領の退陣を求めるデモが拡大すれば、軍の介入もあり得ると語った。半国営の中東通信(MENA)が10日報じた。 これによるとアブルゲイト外相は、このままデモが続いて「混乱状態に陥った場合、軍が介入して国を守らざるをえない。これは非常に危険なことだ」と述べた。同外相はまた、ムバラク大統領の即時退陣を求める米国が意見を押しつけていると非難した。このコメントが報じられた直後、米政府はエジプト軍
【カイロ=貫洞欣寛】エジプト最大の野党勢力ムスリム同胞団は9日、声明を発表し、ムバラク大統領が8日の大統領令で設置した改憲検討のための委員会などについて「正統性を失った大統領による設置は無効」との見解を示した。同胞団が政権との対決姿勢を強めたことで、緊張が高まることは必至だ。 ムバラク政権側が呼びかけた与野党対話については、現時点では離脱しない方針。声明では、(1)ムバラク政権は、すでに正統性を失っている(2)正統性のない大統領による憲法改正のための委員会設立は無効(3)こうした政権側の対応は、政権維持のための時間稼ぎの試みだ、などと指摘。政権側の対応を強く批判した。
【カイロ=貫洞欣寛、玉川透】大規模デモが相次ぐエジプトのスレイマン副大統領は8日、国営テレビを通じ、ムバラク大統領が憲法改正案の検討などに関する三つの委員会設置を命じる大統領令を出したと発表した。開始から15日目を迎えたデモは収束のメドが立たず、即時辞任を求める声が収まっていない。政権側には改革への取り組みをアピールし、事態の沈静化を図る狙いがあるとみられる。 大統領令で発足させるのは、(1)憲法改正(2)野党勢力との合意事項の履行を監視(3)ムバラク支持派と反政権デモ隊の衝突についての原因究明と責任追及――の3委員会。憲法改正と合意履行に関する委員会は「即日活動を開始する」と表明。衝突に関する委員会はメンバー選考を終え次第、活動を始めるとした。 国営中東通信によると、憲法改正委は、判事や憲法専門家ら約10人で構成。与党以外からの大統領選出馬をほぼ不可能にしている現行憲法の改正などを検
カイロ(CNN) エジプトで1月28日から行方不明になっていた米インターネット検索大手グーグルの幹部、ワエル・ゴニム氏が7日解放された。 グーグルは現地時間の午後8時すぎ、ツイッターで「ワエル・ゴニム氏が釈放された」と発表。ゴニム氏も同じころ、自身のアカウントで「自由は戦うに値するものだ」「私が今日出られたのはホサム・バドラウィ氏のおかげだ」とつぶやいた。バドラウィ氏は与党国民民主党(NDP)の事務局長に就任した人物。 ゴニム氏は釈放後、同国のドリームTVに出演。拘束された時の様子について、午前1時ごろにタクシーをつかまえようとしていたところ、「突然、4人に取り囲まれて拉致された。『助けてくれ』と叫んだが、相手は治安部隊だと分かっていた」と振り返った。 ゴニム氏はまた、反政府デモを組織しているフェイスブックのページに自分がかかわっていたことも打ち明け、「われわれはこの政治体制を打倒しなけれ
【カイロ=北川学】エジプトのスレイマン副大統領が、6日に初めて対話した最大野党勢力「ムスリム同胞団」を敵視する発言を繰り返していたことが分かった。内部告発サイト「ウィキリークス」に流出した米国の外交公電に記載された情報として6日、ロイター通信が伝えた。 それによると、2006年2月に駐エジプト米国大使が発信した公電に「ムスリム同胞団は11の異なるイスラム過激派組織を生みだした」とするスレイマン氏の発言が書かれていた。 また、スレイマン氏は同月にエジプトを訪問した米連邦捜査局(FBI)長官に対し、「同胞団は、宗教組織でも社会組織でも政党でもない。それらの寄せ集め」と説明。「宗教の影響力を利用して人々を動員することが主な脅威だ」としたうえで、05年の議会選で同胞団が躍進したことを「不幸だ」と述べたとしている。 08年1月の公電には「イランは以前、エジプトの過激派を支援してきた。もしも過激
カイロで5日、朝日新聞のインタビューに答えるアラブ連盟のアムル・ムーサ事務局長=越田省吾撮影 【カイロ=石合力】エジプト野党勢力の大統領候補として有力視されるアムル・ムーサ元外相(アラブ連盟事務局長)が5日、朝日新聞との単独会見に応じた。ムバラク大統領の即時辞任にこだわらず「与野党で政権移行のロードマップ(行程表)を作り、与党を含む挙国一致政権を樹立すべきだ」との立場を示し、大統領選出馬の意欲もみせた。 ムーサ氏は、野党勢力の有力者で構成する「政権移行賢人委員会」のメンバー。大統領の即時辞任を求めてきた反政権デモにもムバラク氏が動かず、事態が手詰まりになる中での野党勢力有力者の発言として、極めて注目される。 ムーサ氏は、ムバラク氏の去就について「次期大統領選に不出馬を表明した。すでに辞任を決断しており、移行期間は始まった」と指摘。スレイマン副大統領が野党勢力側に呼びかけている対話に「
【カイロ和田浩明】エジプトの治安維持にあたる国軍と内務省の間の確執が浮上している。軍出身のスレイマン副大統領は3日、内務省管轄の治安部隊や警察による反大統領デモへの強硬な対応に不満を表明。空軍司令官だったシャフィク首相もアドリ前内相の処罰の可能性に言及し、ワグディ内相に「平和的なデモは邪魔すべきでない」とクギをさした。 デモ発生当初、治安維持を担当していた内務省は弾圧したが事態収拾に失敗。その後、大統領命令で国軍が展開した。地元メディアなどによると、アドリ氏はこれに反発し現場から部隊引き揚げを命じた疑惑がある。 内務省は警察や治安部隊を駆使して野党勢力の暴力的弾圧を長年続けてきた。「軍内部にはこうした手法に嫌悪感がある」と指摘する専門家もいる。ムバラク大統領が1月29日に全閣僚を更迭し、副大統領、首相、副首相が軍出身者で固められ、軍側の政治力が強まった形になった。 しかし、2日に起きた大統
一週間前、エジプトの反ムバーラク勢力が「怒りの日」に結集したときには、こうも急速に事態が展開するとは予想できなかった。3日ごとに組織される数十万規模のデモ、外出禁止にも従わず終日ムバーラク退陣を叫ぶ若者。米政権も現政権を見限り、30年間のムバーラク大統領の治世は終焉を迎えつつある。 「ムバーラク政権の独裁に反対する民衆に、軍も共感し、反政府勢力のムバーラク下ろしが勢いを増しているが、野党のなかで最も強力なイスラーム主義のムスリム同胞団が新体制下で支配的になり、イランのようになるから危険だ」――。これまでの報道振りをまとめると、こんな感じだろう。だが、このロジックに強い違和感を覚える。 第一は、軍に対する認識である。ムバーラク政権は、52年以来続いてきた紛うことなき軍事政権である。52年の共和制革命を担った主役として、以来軍は支配層の中核にあった。ムバーラク批判が強まるにつれて、軍が真っ先に
前の記事 「Facebookの父」が診療する歯科医院 巨額をかけたiPad専用新聞、『The Daily』(動画) 次の記事 エジプト:ネット回復と「行方不明になった人々」 2011年2月 3日 国際情勢 コメント: トラックバック (0) フィード国際情勢 John C Abell ラクダや馬に乗り、ムチを持った「政府支持派」が、反対派を攻撃した。カイロで2日撮影。Mohammed Abou Zaid/AP エジプトでのインターネット接続が2日(米国時間)回復した。前日にはムバラク大統領がすぐには辞任しないと発言。2日カイロでは武装した「政府支持派」たちが馬やラクダに乗って反対派たちを挑発し、暴力行為と死者や負傷者・行方不明者が増加している。 エジプトのインターネットに関して、1月28日から事実上遮断されている(日本語版記事)と最初に報じたインターネット・モニタリング・サービスの米Ren
カイロ中心部のタハリール広場周辺で3日、大統領支持者からの投石に備える反政権デモの参加者たち=越田省吾撮影 【カイロ=北川学、前川浩之】「政権の『プロパガンダ(宣伝)マシン』にはなりたくなかった」――。反政権デモが続くエジプトで、国営テレビの女性キャスターが3日夜、米CNNなどに電話出演し、報道統制への抗議のため辞職したと語った。一方で、外国人記者や人権活動家への嫌がらせも多発。「追放の金曜日」と名付けられた野党勢力の大規模デモを4日に控え、政府批判の広がりを抑え込む動きとみられる。 シャヒラ・アミンさんは英語放送「ナイルテレビ」のニュースキャスター。2日、ムバラク大統領派が反政権デモ隊を襲撃した現場に居合わせた。アミンさんによると、ムバラク派が最初に投石し、衝突が拡大した。それを伝えようとしたところ、「政権のイメージがゆがめられる」と局側に反対され、同夜、辞職したという。 アミンさ
世間から隔離されているわけではないなら、エジプトで暴動が起きていることはよくご存知のはずだ。このデモは、ソーシャルメディア、そのなかでもフェイスブックとツイッターのおかげだと言われている。実際に、大勢の人々が、ソーシャルメディアがチュニジアおよびエジプトの革命の火付け役となり、この流れは、やがて、革命が起こる環境が整ったその他の中東の国々にも波及すると主張している。しかし、ソーシャルメディア自体が革命を起こしたのではなく、あくまでも手助けしたに過ぎない。 私はソーシャルメディアの力を軽視しているわけではないが、今後の革命の要因をツイッターに求めるのは無理があると思うだけだ。そうではなく、人々のメッセージが革命の引き金になっているのだ。 数百万人の人々を結集させ、政権を覆す、もしくは、抗議活動を始めているのは、ツイッターでも、フェイスブックでも、その他のソーシャルメディアでもない – このよ
カイロ中心部のタハリール広場で2日午後2時半過ぎ、反政府デモと親ムバラク派の市民が衝突し、多数のけが人が出ている模様だ。
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