私はいまから半世紀ほど前の1961年に大学に入学したが、当時の大学は「教授天国」というべきものだった。雨の降る日は必ず休講にする教授さえいた。 休講が多かっただけではない。教授は授業に15分ほど遅れてあらわれ、15分ほど前には姿を消した。しかし、誰もとがめだてする者はいなかった。何を言っているのか、何を言いたいのかよくわからない授業もあったが、自分の頭が悪いんだろうと思ってしまう時代だった。だから教授と〇〇は3日やったらやめられないとまでいわれていた。いまからみれば、大学教授が「特権」にあぐらをかくことができた時代である。 ≪高等遊民どころではない≫ しかし、20世紀末からの大学改革によって、教授本位大学の時代に終止符が打たれる。教育重視の大学改革がはじまった。シラバス(授業計画)を詳細に記し、授業は半期(2単位)で15回(通年なら30回)厳守となった。休講した場合は補講が義務づけられてい
![【正論】見過ごせぬ大学改革の副作用…「手術は成功したが患者は死んだ」となりはせぬか? 竹内洋(関大東京センター長)(1/3ページ)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/ec008a9f04d46bc168364bed7309baea378c2df9/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.sankei.com%2Fresizer%2FRKI8x4rJ-Ujz1oAp8SREMFcy1po%3D%2F1200x630%2Fsmart%2Ffilters%3Aquality%2850%29%2Fcloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com%2Fsankei%2F5HBUC57MGFKDRCY637KU7DEQME.jpg)