現金需要に関しては、「財政的支援が欠かせない信用緩和」という記事の中で簡単に説明したことがあり、その際に造幣益(シニョレッジ、seigniorage)についても言及した。しかし、現金需要といったことを全く無視した議論をする人がいるようなので、改めて現金需要について解説しておきたい。 お金はいくらでもほしいのが人情であるけれども、現金の形態のままでずっと持ち続けようとする額には上限がある。この「現金の形態のままでずっと持ち続けようとする額」のことを経済学では「現金需要」と呼んでいる。現金に関しても需要と供給があり、いくら供給したいと思っても、需要がついてこなければ実現することはできない。むしろ現行の制度的な仕組みの下では、現金供給は現金需要に受動的になされざるを得ない。 例えば、各世帯に10万円ずつ5000万世帯に現金を配ったとする。すると、その時点では5兆円の現金供給が追加されることになる
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