2 0 1 3 年 7 月 2 9 日 日 本 銀 行 日本銀行総裁 黒田 東彦 最近の金融経済情勢と金融政策運営 ── デフレからの脱却に向けて ── 内外情勢調査会における講演 1 1.はじめに 日本銀行の黒田でございます。本日は、内外情勢調査会でお話しする機会 を賜り、誠に光栄に存じます。 日本銀行は、この4月に、消費者物価上昇率で2%の「物価安定の目標」 を、2年間程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するため、 「量 的・質的金融緩和」というこれまでとは次元の違う金融緩和政策を導入しま した。それから3か月余りが経ちましたが、この間、金融市場や実体経済に は前向きな動きが拡がっており、人々の経済・物価に関する期待も好転して います。同時に、 「量的・質的金融緩和」の政策効果について、様々な疑問も 頂いています。そこで本日は、この3か月間のわが国経済や金融市場の変化 をまと