野田佳彦政権・民主党執行部と自民党は、社会保障制度改革を先送りにしてでも、消費増税関連法案を成立させる方向で一致したようだ。財務官僚の思惑通りなのだが、筆者は、日本自滅のシナリオだと断じてきた。デフレ下の消費増税は、何よりも日本の屋台骨である現役世代を一層ひどく痛めつけるからだ。 消費増税に政治生命を懸けるという野田首相は、「消費税を引き上げることで社会保障の将来像に不安がなくなる。消費が喚起され、経済が活性化される可能性もある」(3月29日、参院での答弁)と信じてきた。消費増税→社会保障財源確保→消費者の将来不安解消→景気好転というわけで、政官財、メディアの増税支持派にありがちな論理である。 が、不況下での増税で景気がよくなった試しが世界史上あっただろうか。貧しくさせる元凶 日本の現実は「慢性デフレ不況」である。デフレ病こそは、日本経済を担う中間層である勤労世代を貧しくさせてきた元凶であ
日銀の白川方明総裁は23日の金融政策決定会合後の記者会見で、欧州債務問題について「最も強く意識しておくリスク要因」との認識を示した。足元では「国際金融市場では神経質な動きがみられ、当面注意してみていく必要がある」と指摘。米国経済の回復力や新興国景気の先行きを含め、「世界経済を巡る先行きには不確実性が引き続き大きい」と述べた。欧州債務問題の日本経済への影響に関しては、(1)欧州への直接・間接的な
欧米格付け会社フィッチ・レーティングスは22日、日本の円建て長期国債の格付けを、「ダブルAマイナス」から1段階引き下げ、上から5番目の「シングルAプラス」にしたと発表した。 見通しは「ネガティブ(弱含み)」とし、「新たな財政安定化策がなければ、さらに格下げの可能性がある」とした。消費税率引き上げを含む社会保障・税一体改革関連法案の国会審議の停滞ぶりに警告を発した形だ。 フィッチによる格下げは2002年11月以来、9年半ぶりだ。 フィッチは格下げの理由について、日本の「財政健全化に向けた取り組みが切迫感に欠けると思われ、(財政再建)計画の遂行は政治リスクが伴う」と指摘。消費増税についても「依然として政治的な論争の的になっている」とし、消費税法案の成立が見通せない現状に言及した。
(英エコノミスト誌 2012年5月19日号) 中国と米国は競って地域の自由貿易協定をリードしようとしている。 貿易交渉は、時として床を磨く作業のように思えることがある。いいことをしている気分になるし、大変な時間がかかるうえに苛酷な労働を伴うが、多くの場合、終わってみると、違いがあまり分からないのだ。 日中韓のFTAに対する3つの反応 そういうわけで、中国、日本、韓国の3カ国が5月13日に自由貿易圏の創設に向けて交渉を開始すると発表した時、これに対する最初の反応は、肩をすくめることだった。何しろ、この構想は10年前から存在しており、構想の実現には多くの障害がある。しかも交渉を開始する具体的な日程すら発表されていない。 次の反応は、仮に構想が実ったら、非常に重大な出来事になると認識することだろう。日中韓の3カ国は合計すると世界の国内総生産(GDP)の5分の1近くを占め――ユーロ圏より大きい――
日米で製造業の「自国回帰」の動きが加速している。背景にあるのは中国の人件費高騰だ。短期的には労働コストの上昇要因となるが、日米とも「雇用を守りたい」という考えで官民が一致。工場の自動化・効率化などの生産革新で内外のコスト差を縮めるだけでなく、米国では強力な国の政策も回帰を後押しする。日本は高品質の「日本製」を前面に輸出拡大を図る構えだ。先進国の宿命ともいえる産業の空洞化に立ち向かう試みがいま、成果を上げつつある。 ◆国内の雇用を重視 「この会社は、国外よりも米国内の雇用を重視しているだけでなく、『メード・イン・アメリカ』と刻印された製品を中国の顧客に販売している」 米ウィスコンシン州ミルウォーキーにある米錠前大手「マスターロック」の工場を2月に視察したオバマ米大統領は、生産拠点を中国から移した同社を手放しで称賛した。 11月に迫る大統領選での再選を目指すオバマ大統領は、景気回復の鍵を握る製
【ロンドン=中沢謙介】経済協力開発機構(OECD)は22日、各国の生活の豊かさを示す「より良い暮らし指標」の最新版を公表した。 日本は36か国中21位となり、昨年の19位からやや順位を下げた。トップは昨年に続いてオーストラリアだった。 指標は住居や仕事、教育など11項目の豊かさを点数化している。日本は「安全」が10点満点中9・9点で1位、「教育」が8・8点で2位と高い一方、「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」が3・0点で34位だった。週に50時間以上働く長時間労働者が全体の約3割に上り、トルコの4割に次いで多いことなどが低評価の理由となった。 OECDは昨年から、国民の幸福度を国際比較する狙いで指標の作成を始めた。今年はOECD加盟34か国とロシア、ブラジルを対象とした。
財務省が23日発表した4月の貿易統計によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は5203億円の赤字(前年同月は4777億円の赤字)だった。 赤字は2か月連続で、4月としては過去最大だ。原子力発電に代わる火力発電用に使われる液化天然ガス(LNG)などの輸入が急増していることが響いた。輸出は回復基調にあるものの、今後も貿易収支の大幅な改善は見通せそうにない。 輸出は、自動車やデジタルカメラなどが回復し、7・9%増の5兆5665億円と、2か月連続で増えた。 米国向けは、前年同月の4倍超となった自動車などが好調で、42・9%増と大きな伸びとなった。 しかし、景気が減速している中国向けの輸出は7・1%減と、7か月連続の減少だった。原動機やコンベヤーなどの輸出が落ち込んだためだ。アジア全体でみても、2・6%減と2か月ぶりのマイナスになった。
サイデルが手がけるNYやロンドンの個性派ホテル 新世代の個性派ホテルとして注目されているサイデル・グループ。同グループが運営する都市型のホテルはビジネス客のすべてのニーズに応じることがコンセプト。その充実度は自給自足の島に例えられるほどだ。ニューヨーク、ワシントン、ロンドンにある各ホテルを紹介。
浮上する「日銀法改正」 日銀にとってみればまさに薮(やぶ)から棒、とでも言うべきか。消費増税法案をめぐる与野党のせめぎ合いの中から、日銀法の改正案が飛び出す雲行きだ。 現行日銀法は1998年4月に施行された。日銀が80年代後半、ワシントンの意向を受けた大蔵省(現財務省)の圧力に屈して超金融緩和政策を長引かせたために、株や不動産のバブルを膨張させたという反省から、同法は日銀に対し、政治や政府からの高度の独立性を保障した。 ところが、日本はこの98年から物価が継続的になだらかに下がる慢性デフレ病にかかった。2008年9月の「リーマン・ショック」からは悪化し、治る見通しが立たない。「物価安定」を日銀の判断に委ねていては、デフレからいつまでも脱出できないという批判が強く出るようになった。疑われる「本気度」 改正案の要点は、日銀政策の「目標」と「手段」を明確に分ける。金融政策をどう運営するかは日銀の
財務省は10日、2011年度末の国債と借入金、政府短期証券を合わせた「国の借金」が、前年度末より35兆5907億円増えて959兆9503億円となり、過去最大を更新したと発表した。 今年4月1日時点の推計人口(1億2765万人)で割ると、国民1人当たりの借金は約752万円となる。 「国の借金」全体の約7割を占める普通国債の残高は33兆5558億円増え、669兆8674億円となった。このうち、東日本大震災の復興費に充てる復興債が10兆6529億円を占めた。 また、国は昨年度、原子力発電所事故の賠償を支援する原子力損害賠償支援機構に対し、5兆円分の資金供給枠を設定し、交付国債と呼ぶ証文を発行した。支援機構は損害賠償を行う東京電力の求めに応じ、国の資金枠から6636億円の提供を受け東電に供与したた。この結果、資金枠の残りは3月末時点で4兆3364億円となった。
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