ブックマーク / yoshiko-sakurai.jp (291)

  • 「 米中の闘い、中国は死に物狂いだ 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊新潮』 2016年3月31日号 日ルネッサンス 第698回 アメリカのオバマ大統領が3月10日、ホワイトハウスのローズガーデンでの会見で語った。候補者指名争いで彼らが互いを非難し合う様は「不快(nasty)」で「私はそうしたこととは無関係」だ、と。 すると16日の「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」紙に、大統領は自身の責任に口を拭っているとの批判が掲載された。 民主党のバーニー・サンダース、共和党のテッド・クルーズ、ドナルド・トランプ3氏を含めて、候補者らの汚い罵り合いはオバマ政治への失望と憤りの反映であることに、当の人が知らぬ顔をしているというのだ。 右のコメントを読みながら、私はあることを思い出した。オバマ大統領は自身が打ち立てた戦略の意味を理解しているのかと思わず疑ったケースである。 話は少し遡る。昨年10月、オーストラリア北部準州の州都、ダーウィンの港一帯を、中

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  • 「 米国を根本から変える意味合い持つ最高裁判事後任問題の混迷 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊ダイヤモンド』 2016年3月26日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1126 3月15日の米大統領選の予備選で、共和党のマルコ・ルビオ氏が撤退した。氏は共和党のいわゆる良識派の期待を担っていた。しかし、自身の地元のフロリダ州でドナルド・トランプ氏に大きく水をあけられて、撤退が決定的になった。 トランプ氏の暴言と“敵”をつくり続ける非常識な手法を、米国のみならず世界中が懸念する中で、極めて重要な国内問題の処理に共和党が頭を痛めている。2月に死去した米連邦最高裁判所判事、アントニン・スカリア氏の後任問題である。 氏は1986年にロナルド・レーガン大統領に指名され、30年間、最も筋を通した保守の判事だと評価されている。同氏の死去で9人の最高裁判事は8人となり、保守対革新で4対4に勢力が二分されている。米最高裁の権威は非常に強く、議会が重要問題を決定できないとき、答えを出し、米国

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  • 「 あまりに露骨、司法のイデオロギー化 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊新潮』 2016年3月24日号 日ルネッサンス 第697回 日は果たして公正な国か、国民は究極的に国を信頼できるのか。 この問いへの回答は、司法が良識と法律に適った判断を下しているか否かという中にある。司法は国民にとって社会や国の公正さを信ずる最後の拠り所である。司法の健全さは、その国が国民によっても世界によっても信頼される鍵だと言ってよい。 たとえば国家としての中国はおよそ信頼に値しないが、その理由をダライ・ラマ法王14世はこう語っていた。 「司法の独立がないことが中国の最大の問題であり、悲劇です。司法は中国共産党に従属し、判事の任命も判決も共産党の了承なしには不可能です。判決は法ではなく、政治的イデオロギーに基づいて下されます。中国の司法は事実も真実も認定できず、独裁政治を支えることによって、中国社会を蝕んでいます」 では日の司法はどうか。中国とは異なり、わが国には言論、思

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  • 「 政府主導で明確な原子力推進を 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊新潮』 2016年2月18日号 日ルネッサンス 第692回 個々の技術は優れていても、全体の戦略となると心許ないのが日ではないか。原子力の分野も例外ではない。個別の技術、たとえば原発で最重要といわれる原子炉圧力容器の製造技術では、日は掛け値なしの世界一である。3・11に関して、私たちは水素爆発を起こした福島第1原発の失敗に焦点をあてがちだが、第2原発は見事に生き残った。増田尚宏所長(当時)以下400名の職員の危機管理の手法は『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌が絶賛したピカピカの世界一だ。 3・11からの立ち直りに呻吟する原子力産業においてさえ、このように幾つも個々の「世界一」が光っている。しかし、原子力産業全体では、やはり日は周回遅れで喘いでいる。 なぜか。問題点はどこにあるのかが、シンクタンク「国家基問題研究所」の2月月例研究会のテーマだった。論者は前文部科学大臣で自民

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  • 「 脳梗塞から復活した平沼氏が一貫して訴え続けた自主憲法制定 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊ダイヤモンド』 2016年2月13日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1120 昨年9月初旬、脳梗塞で倒れ療養中だった平沼赳夫氏が、自身のホームページに復帰の動画を発表した。 痩せたが、しっかりした口調で経緯を語っている。倒れて以降のリハビリ、昨年秋の自民党最高指導者(安倍晋三総裁)との面談、自民党党規委員会での満場一致の復党の受け入れ、長年の主張である自主憲法制定を目指し、「大和の国、平和な国」としての日の復活にこれからの政治活動を集中させることなどを語っている。 氏は衆議院議員選挙への初立候補のときから自主憲法制定を訴えてきた。日の在り方について、これまで度々氏とは意見交換をしてきたが、氏がよく語る往時のエピソードはやはり憲法にまつわるものだ。 「憲法は票にはならないのですよ。ですから、若い政治家として憲法の話ばかりすると、亀井(静香)さんに、もっと目の前の選挙区の

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  • 「 規制をなくして育てよ、人工知能 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊新潮』 2016年2月11日 日ルネッサンス 第691回 週末、2人の奇才に人工知能(AI)について聞いた。MITメディアラボの所長で、『ニューヨーク・タイムズ』社外取締役などを務める伊藤穰一氏と、ソニーコンピュータサイエンス研究所所長の北野宏明氏である。 初対面の北野氏からは、機関銃のように言葉がつながって飛び出てくる。最新の情報技術や産業についてのアイデアが溢れ出るのだ。 AIといえばお定まりのように「日は周回遅れ」と言われる。そうなのか。氏が語る。 「アメリカのAI学会では、中国訛りの英語がわからなければ結構苦痛です。中国アメリカのしていることは殆どしています。北京、清華、上海の各大学の学生が大挙して留学し、米国で快適に学んでいます」 中国のAI分野での人材急増には目を見張るという。13年に中国で開催したAI国際学会では殆ど人材はいなかったが、この2年で爆発的に増え、清華

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  • 「 皇位継承権は女性差別と踏み込む国連 日本をおとしめる情報戦対策が急務 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊ダイヤモンド』 2016年3月19日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1125 日を非難する捏造の歴史を20年間も放置しておいて、たった1度、反論したからといって日のぬれぎぬを晴らせるはずはない。日に対する国際社会の誤解は極めて深く、その背後に、反日思想に駆り立てられている人々の国際社会への働き掛けがある。そのうちの少なからぬ人々が日人である。 これが、3月7日に発表された国際連合女子差別撤廃委員会の対日最終見解が示す冷厳な現実である。 慰安婦問題について、外務省が初めて国際社会に異議申し立てをしたのが今年2月16日だった。日国政府の反論を踏まえた対日最終見解には、強制連行や性奴隷という表現こそなかったが、慰安婦問題は「日軍による深刻な人権侵害」「未解決の課題が残っており遺憾な状況」で、日政府の「公式な謝罪と元慰安婦への金銭賠償」が必要だと断じたひどい内容だっ

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  • 「 中国がバチカンを巻き込んで謀略 日本は果敢に反論し広報すべき 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊ダイヤモンド』 2016年2月20日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1121 2月20日に書店に並ぶ高橋史朗氏の近著『「日を解体する」戦争プロパガンダの現在』(宝島社)に非常に恐ろしいことが書かれている。中国が日歴史戦争を仕掛けているのは周知だが、その戦場がバチカンを巻き込んで広がりつつあるというのだ。 話は1937年1月9日にさかのぼる。中国河北省の正定にカトリックのミッションの支部があった。37年といえば12月に日軍が南京に入城、「南京大虐殺」を起こしたと中国が主張し、研究者から見れば根拠を欠く不条理な非難を日は浴びてきた。 その同じ年に日軍が「正定事件」を起こしたと、中国とオランダが共同でローマカトリックの総山、バチカンに次のように訴えた。 カトリックミッションに日軍が乱入、女性200人を要求し、宣教師たちが断ると、9人の宣教師を誘拐し殺害した、と。

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  • 「 一見平和な日本、だが千葉沖に中国の脅威 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊新潮』 2016年2月25日号 日ルネッサンス 第693回 千葉県銚子市、九十九里浜沖で中国の情報収集艦が頻りにデータを取り続けている。その理由を、東海大学教授の山田吉彦氏はインターネット配信の「言論テレビ」の番組で次のように説明した。 「温暖化で潮流も海水温度も変化しています。黒潮(フィリピン東方から台湾、南西諸島、日列島の南岸から、銚子沖に走り太平洋に溶け込む潮流)は時速約3海里、大体5・6キロ。その流れに乗る形で気づかれずに日に接近するためのデータ収集です。彼らは日米の潜水艦が展開する海域も探っています」 番組で同席した元防衛庁情報部長の太田文雄氏が付け加えた。 「船から潜水艦を探知する手懸かりは音です。音は水中では、水温、圧力、塩分濃度によって上方向、或いは下方向に曲がって伝わります。上下方向の音の間をシャドーゾーンと言うのですが、ここに潜水艦が入ると、船からの探知は

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  • 「 官邸主導で「正定事件」に見事に対応 首相直属の情報発信本部設置を 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊ダイヤモンド』 2016年2月27日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1122 先週当欄で指摘した「正定事件」について、日政府の動きは素早かった。日政府の資料等をそろえてバチカンに提出することになった。 同事件について中国とオランダは、1937年10月9日、中国河北省正定で日軍がカトリックミッションに対し200人の女性を要求し拒絶されたために、シュラーヴァン司教を含む九人の宣教師らを殺害したと主張する。女性を守って犠牲となった9人を聖人に次ぐ福者として顕彰し列福してほしいと、中国とオランダがバチカンに申請済みなのである。 官房副長官の萩生田光一氏が語った。 「早速調査させました。日外務省が1939年までにまとめた記録では『満州軍により殺害』と記されています。事件後、日政府は調査をし、残念ながら犯行は日軍によるものだったと確認し、対処しています」 資料では、日

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  • 「 司法への米国の畏怖と日本の無関心 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊新潮』 2016年3月3日号 日ルネッサンス 第694回 日と米国でこれ程違った形で報道されるのかと、驚いたのが米連邦最高裁判所判事の死亡だった。 2月13日、死去したアントニン・スカリア最高裁判事を悼んで「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)紙は、ワシントン記念塔で13枚の星条旗が半旗として掲げられた大きな写真を1面で報じた。日で最高裁判事の死亡に関して、このような報道がなされたことは未だかつて記憶にない。7月の国政選挙が衆参同時になれば、私たちは最高裁判事の是非に関しても判断を求められる。しかし、一体誰が最高裁判事について、十分な知識を持っているだろうか。否、名前さえ知らない人が圧倒的に多いのではないか。 1人の判事に関して大きな写真を掲載し、詳報する米国では最高裁判事1人1人の名前も、判決の傾向も、多くの人が知っていると言ってよい。日米は国情も文化も、意見の折り合

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  • 「 猛烈なスピードで進む中国の軍拡 日本を守るために必要な自助努力 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊ダイヤモンド』 2016年3月5日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1123 中国の南シナ海軍事拠点化の凄まじさが彼らの真の姿を見せてくれる。オバマ米大統領には中国阻止の有効な手は打てないと踏んで、氏が大統領にとどまるこの1年間に、取れるものは全て取ろうと、遮二無二攻めている。 南シナ海のパラセル諸島最大のウッディー島への地対空ミサイル配備が明らかになったのは2月19日だった。わずか4日後には、戦闘機も配備された。配備済みの戦闘機はJ-11とJH-7だと米国防総省が発表した。 J-11は中国人民解放軍の主力戦闘機で、日の航空自衛隊の第4世代戦闘機F-15および米国のF-16戦闘機に匹敵する。南シナ海で起きることは必ず東シナ海でも起きる。中国が海を奪い、軍事拠点化したことは、東シナ海も奪われ、軍事拠点化されるという意味だ。尖閣諸島のみならず東シナ海全体に中国の支配が及ぶこと

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  • 「 米国トランプ現象の異常を読む 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊新潮』 2016年3月10日号 日ルネッサンス 第695回 小欄をお読みいただく頃には、米大統領選指名争いの山場、3月1日のスーパーチューズデーの結果が出ているはずだ。 大統領選の大きな流れをほぼ確定する3月1日に向けて、米主要紙の報道が過熱している。焦点は「トランプ阻止」である。「ワシントン・ポスト」(WP)紙は根っからの民主党支持であるが、2月24日と25日の社説でトランプ氏に関して共和党にメッセージを送った。 「共和党指導者よ、持てる全ての力でトランプを阻止せよ」とまず書き、翌日、「トランプは共和党の怪物、フランケンシュタインだ。彼は今や党を破壊する力を手にした」と警告した。 結局、トランプ氏の勢いを止めるのは有権者だとして、WP紙はトランプ氏に投票しないように呼びかける異例の社説を掲げたのだ。 一方、共和党支持の「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)紙は、2月25日

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  • 「 米国、アジア情勢を鑑みれば急務 安倍首相が明確にした改憲意欲 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊ダイヤモンド』 2016年3月12日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1124 「安倍首相は参院選で3分の2を確保すれば必ず憲法を改正する」として、岡田克也民主党代表は安倍自民党の勢力拡大阻止に向けて野党勢力の結集を進める。重要政策で一致できなくても「野合で何が悪い」と開き直り、3月2日には小沢一郎氏とも会談した。岡田氏の目指す、安倍晋三首相による憲法改正の阻止と、安全保障関連法の破棄は一体である。 他方、安倍首相は憲法改正に言及し続けている。1月4日の年頭記者会見、22日の施政方針演説、2月3、4日の衆議院予算委員会に続いて、3月2日の参議院予算委員会では民主党の大塚耕平氏の質問に、憲法改正は立党時からの自民党の党是であり、自民党総裁として先の選挙でも訴えてきたと明言した。 大塚氏が在任中の改正を望むのかと念押しすると、首相は、(1)衆参両院で3分の2以上の賛成が必要、(

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  • 「 他人事ではない超高齢化のリスク 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊新潮』 2016年3月17日号 日ルネッサンス 第696回 日は世界一の長寿国となったが、高齢化に伴うさまざまな課題を賢く解決しなければ、長寿大国の意味はないと私は思う。いま、多くの人が高齢者と共に暮らし、何らかの形で介護に携わっている。介護される側も、する側も、眼前で発生する問題に、とにかく対処しなければならない。理屈よりも現場なのである。 そうした中、高齢化時代に国民1人1人がどのように元気に、幸福に暮らしていけるか。元気でなくなったときにどのように問題を乗り越えていけるのか。元気でなくても無事に安心して暮らせる仕組みをどう作っていくか。そのモデルを作り出せたとき、日人は今よりずっと安心して暮らし、幸せになれるはずだ。大きく構えて言えば、日は今よりもっと人類全体に貢献できるはずだ。 その意味で、3月1日の最高裁判所判決には考えさせられた。 「事故」が起きた2007年12月

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  • 「 震災5年であらためて考える原子力規制委の権限と在り方 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊ダイヤモンド』 2016年2月6日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1119 「読売新聞」が「震災5年」と題して、東日大震災の当事者たちの証言を連載している。1回目は宮城県南三陸町町長の佐藤仁氏、2回目は福島県飯舘村村長の菅野典雄氏だった。小町村の首長がどのような思いで震災に向き合い、住民を守ろうとしてきたか、読めば胸を締め付けられる。当事者の皆さん方の思いはどれほどのものかと思う。 そして連載3回目、班目春樹氏(元原子力安全委員会委員長)の証言を読んで、当時の民主党政権の愚策にあらためて憤りを覚えた。3・11発生の夜、氏は官邸に招集された。氏の役割は菅直人首相(当時。以下同)への助言である。ところが東京電力や現地の保安検査官からの情報は、一切班目氏らには伝えられなかった。首相補佐官の細野豪志氏が福島第1原子力発電所の吉田昌郎所長と電話で連絡を取り合っていたことも、伝えら

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  • 「 チベットの悲劇、許し難い中国の蛮行 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊新潮』 2016年1月21日号 日ルネッサンス 第688回 1月の連休中に、3年9か月振りに日を訪問したチベット亡命政府の首相、ロブサン・センゲ氏にお会いした。米国ハーバード大学で上級研究員の地位にあった氏は、2011年8月にチベット人の自由選挙によって首相に選ばれ、亡命政府のあるインド北部のダラムサラに戻った。ダライ・ラマ法王14世から政治指導者の地位を受けついだ氏は、今年8月、5年間の第1期を終え、第2期を目指す。 のケサン・ヤンドンさんも1人娘のメンダ・リナさんも昨年2月、ハーバード大学のあるボストンからダラムサラに移り住んだ。メンダさんはいま8歳、完全な英語圏からチベット語圏へ、西欧近代社会から東洋の簡素かつ自然の摂理に多くを委ねる社会へと移り住んだ。幼い淑女は両方の言葉で日の童話を語ってくれるなど、健気かつ利発だった。 センゲ氏は家族と共に「チベット人として生き、チ

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  • 「 チベット弾圧しながら海外仏教徒は歓待 仏教を共産党のためだけに使う中国の狡猾 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊ダイヤモンド』 2016年1月23日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1117 チベット亡命政府首相、ロブサン・センゲ氏の話は思いがけない内容だった。チベット、つまり、中国に併合され土地も資源も奪われて今日に至るチベット自治区では、漢民族に破壊された寺院の修復が進みチベット仏教が静かに着実に復活しつつあるというのだ。センゲ氏は1月9日から13日まで、首相として2度目の訪日を果たしたが、状況の苦しさとは対照的に意気盛んだった。 「年間、2000人から3000人のチベット人が中国から私たちのいる北部インド、ダラムサラの亡命政府の下に逃れてきます。僧、尼僧、一般のチベット人など様々です。私たちは彼らを迎え、僧にはチベット仏教をより深く教え、世俗の人々にも同様にチベットの文化、伝統、価値観を教えます。彼らはダラムサラでチベット人であることの意味を深く体得すると思います。こうしてチベ

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  • 「 台湾新政権、現状維持を日米が支援 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊新潮』 2016年1月28日号 日ルネッサンス 第689号 台湾の運命だけでなく日及びアジア全体、ひいては米中関係の行方にも大きな影響を与える台湾の総統選挙は、野党・民進党主席の蔡英文氏の大勝利に終わった。そしていま、再び「日米台vs中国」の構図が鮮明になりつつある。 「加油台湾! 加油台湾!」「台湾台湾! 台湾!」 1月15日、ざんざん降りの雨の中、民進党の勝利を信じて集った3万人とも4万人とも見られる大群衆が歓喜と期待の大合唱を繰り返す。 「加油」は「頑張れ」の意味だ。 翌16日投開票の総統選挙で、民進党は蔡氏が得票率56%で次期総統の座を勝ち取った。同時に行われた立法院(国会)選挙でも113議席中68議席を得て、国民党を35議席の野党へと一挙に追い落とした。この結果は、外省人(中国人)の馬英九総統が2期8年間の任期中に進めた中国傾斜政策に対する、省人(台湾人)の深い失望

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  • 「 国際社会に無関心な米国の堕落 頼れない日本の生きる道は憲法改正 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

    『週刊ダイヤモンド』 2016年1月30日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1118 連日、米大統領選挙に関する情報がにぎやかだ。共和党候補の1人、ドナルド・トランプ氏の極論や民主党有力候補のヒラリー・クリントン氏との舌戦は、米国の混迷の深さを示している。 泡沫候補と評されていたトランプ氏が、なぜこうも高い支持を受け続けるのか。背景には過激派組織「イスラム国」(ISIL)をはじめとするテロリスト勢力の跋扈と、そこから生まれた大量の難民を原因とする社会・経済問題がある。 EU(欧州連合)諸国内に流れ込んだ100万人規模の難民の中に、昨年11月にパリを襲撃した犯人たちが紛れ込んでいた。難民問題への不安と不満が排他的主張の仏・国民戦線、ル・ペン党首への支持を押し上げる直接の原因となった。 いまやフランスの大統領選挙の最有力候補となったル・ペン氏同様、米国でトランプ氏が、そしてその他EU

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