51年前に旧清水市で起きた一家4人殺害事件(袴田事件)で、「犯行時の着衣」とされたズボンを製造した名古屋市のアパレル会社役員の男性(81)が、朝日新聞の取材に応じた。静岡県警の捜査員がズボンの捜査のためにやってきたのは事件翌年の1967年秋。だが、捜査員に話した事実は知らないうちに、まったく別の内容にすり替わっていたという。 男性によると、県警捜査員が、ズボンの製品番号からたどって会社を訪ねてきたのは67年9月。事件後、強盗殺人容疑で逮捕された元ボクサーの袴田巌さん(81)の裁判は既に始まっていた。「事件のことはもちろん知っていたので、驚きました」 製造過程や販売先などについて詳しく話を聴かれたという。ズボンのタグにある「B」の文字についても男性は「生地を便宜上ABCの三色に色分けし、これは『B色』を意味します」と色の記号であることをはっきり説明した。 ズボンは、事件から1年2カ月後、袴田
大阪地裁岸和田支部で作成された刑事裁判の「公判調書」をめぐり、大阪高裁の控訴審で被告側が「事実と異なる記載がある」と指摘し、作成した地裁支部書記官を高裁が証人尋問する異例の決定をした。6月1日の公判で実施する。 公判調書は裁判の期日ごとに審理内容など重要事項を書記官が記載し、裁判官が押印する。刑事訴訟法で作成が義務づけられている。 問題となったのは過失運転致傷罪に問われ、昨年7月に起訴された男性被告の第2回公判の調書。同年10月、審理に参加した被害者の家族が被告に質問していた。検察官は、質問事項が妥当かどうかの意見を裁判所に伝える決まりだが、弁護人によるとこの日は検察官が意見を述べないまま質問がされた。 しかし、調書には検察官が「許可相当と思料します」と述べたと記載。弁護人が一審判決後の12月に「記載に誤りがある」と同支部に申し立てたが、担当した大崎良信裁判官は「検察官から許可相当の意見が
2015年夏に中国で人権派弁護士らが一斉に拘束された事件で、弁護人を通じて獄中での拷問を告発していた謝陽弁護士(45)の初公判が8日、湖南省の長沙市中級人民法院(地裁に相当)であった。謝氏は国家政権転覆扇動罪などを認め、拷問もなかったと証言したが、支援者らは「ありえない」と反発している。 当局側は法院のSNSサイトに写真や映像も付けて法廷のやりとりを載せ、透明性をアピールした一方、「道路工事」を理由に法院周辺を封鎖し、支援者らが近づけないようにした。約1年10カ月ぶりに公の場に姿を見せた謝氏は拘束前よりやせ細っていた。 謝氏は意見陳述で「罪を悔いている。人権派弁護士は海外メディアを使って国や党をおとしめるのはやめるべきだ」と述べた。これに対し、支援者らは「いつか私が罪を認めたら、どのような形であれ、本当の意思ではない」と謝氏が以前書いた声明を公開した。 謝氏は今年1月、面会した弁護…
歌手の石川さゆりさん(59)は今年、38年ぶりに熊本県水俣市のステージに立った。還暦を迎えた水俣病胎児性患者との再会を喜び、「きれいになった海と街」を見た。流れる月日の中で変わり行くもの、いつまでも心にとどめなければいけないこと。5月1日の公式確認61年を前に、水俣病について石川さんが語った。 産業優先の国策を背景に化学メーカーのチッソが増産にひた走る中、水俣病は発生した。胎児性患者は母の胎内で水銀に侵され、手足のまひや言語障害などを生まれながらに背負う。 成人した彼らは、熊本出身で年の近い石川さんを水俣に招いてのコンサートを企画し、1978年に実現させた。前年に「津軽海峡・冬景色」のヒットがあった。石川さんは療養施設も訪れ、重度の胎児性患者らと対面した。 「学校で『4大公害病』の一つとして水俣病を学んでいたけれど、実際に患者の皆さんに会った時、ただただショックでした。自分の意思と関係なく
名古屋拘置所(名古屋市)に収容中の男性死刑囚が、自分で購入した食パンやのどあめの袋についている「懸賞応募券」を集めて郵送しようとして不許可となったほか、ネガフィルムの差し入れが認められず精神的苦痛を受けたとして、国に賠償を求めた裁判の控訴審判決が13日、名古屋高裁であった。 藤山雅行裁判長は、拘置所の不許可は違法と認定。死刑囚の訴えを退けた一審・名古屋地裁判決を変更し、国に2万2500円の支払いを命じた。「応募期間が過ぎて応募券の意味がなくなり、精神的苦痛が生じたのは明らか」として、応募券1枚(パンは1点)あたりの慰謝料は500円とした。フィルムについての慰謝料は1万円。 訴えていたのは、1998年の三重県松阪市のフィリピン人女性スナック従業員強盗殺人事件で、死刑判決が確定した森本(旧姓沢本)信之死刑囚。判決によると、死刑囚は2015年3~4月、応募券(あめ6枚と、食パンなど19点分)を親
東芝が、国内テレビ事業を売却する検討をはじめたことが分かった。中国の家電メーカーなどが関心を示している模様だ。海外のテレビ事業はすでに撤退済み。残った国内分は赤字が続いており、売却して原発事業で生じた巨額損失を補う助けにしたい考えだ。 売却を検討しているのは、東芝のテレビ事業子会社「東芝映像ソリューション」(青森県三沢市)。関係者によると、国内の拠点や雇用、「レグザ」ブランドの維持などを条件に、近く売却額の提案を受けつける。早ければ、2017年度のうちに売却手続きを終えたい考えだ。 国内のテレビ事業は、16年度の販売見込みで約60万台の規模。16年4~9月期決算では、売上高が前年比43%減の279億円、営業損益は105億円の赤字だった。採算がとれない状態が続いていた。 東芝は、15年末にインドネシ…
民俗学者で「妖怪談義」や「遠野物語」などを著した柳田国男(1875~1962)の出身地で、妖怪による町おこしに力を入れる兵庫県福崎町が、カッパにちなんだレトルト食品「かっぱカレー」を開発した。8日に同町西田原の辻川山公園周辺で開かれた桜やグルメなどを楽しむ「民俗辻広場まつり」で販売された。 柳田の著書「故郷七十年」には「子供のころに、市川で泳いでいると(河童〈かっぱ〉に)お尻をぬかれるという話がよくあった」と記されている。カッパの好物と言われる「尻子玉(しりこだま)」(人間の肛門〈こうもん〉内にあると想像された玉)に見立てたウズラの卵4個をカレーに入れた。 試食を重ね、牛ひき肉入りの中辛のキーマカレー風に仕上げ、パッケージにはリアルなカッパを描いた。1箱(200グラム)税込み570円で、町観光協会は町役場やネット通販などで3日から販売している。 この日はカッパのキャラクター「ガジロウ」がカ
レンタル大手「ツタヤ」を展開する会社が全国に先駆けて指定管理者を務めている佐賀県の武雄市図書館に関して、市民が市の施策を批判する投書を新聞にしたところ、「事実誤認」があるとして市幹部らが投稿者や家族を訪問した。市議会一般質問でも市議が投稿者を個人情報を交えて批判。こうした直接の働きかけについて「圧力になりかねない」「反論は紙面ですべきだ」という指摘がでている。 投稿者は「市図書館・歴史資料館を学習する市民の会」代表を務めている同市の70代男性。市図書館の郷土史の展示スペースのあり方などについて市政を批判する内容で、3月4日付の佐賀新聞に掲載された。 市こども教育部は、内容の数カ所が市の見解と異なり「事実誤認」だと判断。3月6日に水町直久理事ら3人が男性宅を訪れた。男性は「一部説明不足や数字の誤りはあったが、自分の主張に間違いはない」などと話したという。翌7日には諸岡隆裕・こども教育部長が男
神戸市長田区で2014年に小学1年の女児(当時6)を殺害したとして、殺人やわいせつ誘拐などの罪に問われた君野康弘被告(50)の控訴審判決で、大阪高裁(樋口裕晃裁判長)は10日、求刑通り死刑とした一審・神戸地裁の裁判員裁判の判決を破棄し、無期懲役を言い渡した。判決は「一審は生命軽視の姿勢を過大評価しており、公平の観点からも死刑を許容しうるとは言えない」と判断した。 09年に裁判員裁判が始まって以来、強盗目的の事件を除き被害者が1人の殺人で死刑が言い渡された初めての事件で、今回の判断に注目が集まっていた。 高裁判決によると、君野被告はわいせつ目的で14年9月、「絵のモデルになってほしい」と声をかけて女児を自宅に誘い入れ、首を絞めるなどして殺害。遺体を傷つけて複数のごみ袋に入れ、近くの雑木林に遺棄した。 地裁は動機や犯行の残虐性を重くみて「生命軽視の姿勢が甚だしく極まっており、被害者が1人でも死
伊勢湾と三河湾のイカナゴ(コウナゴ)漁について、愛知、三重両県の漁業者が6日、今年の禁漁を決めた。両県の調査や漁業者の試験操業で稚魚がほとんど取れなかったため。両県の漁業者が資源管理を始めた1980年代半ば以降、禁漁は昨年に続き2回目。 両県の漁業者代表約40人が三重県鈴鹿市で話し合って決めた。稚魚がほとんど取れなかった理由を、愛知県水産試験場漁業生産研究所の植村宗彦主任研究員は「産卵する親魚が少なかった。前年が少なかった上、夏の高水温で夏眠中のイカナゴが大きく減ったことも影響した」と話す。イカナゴは水温が上がる春から秋に伊勢湾口部の砂地に潜って夏眠するが、調査では生残率9%と、平年の67%を大きく下回ったという。 イカナゴ漁は例年、3月上旬に始まる春の風物詩。愛知県しらす・いかなご船びき網連合会の高塚武史会長(69)は2年連続の禁漁について「来年取れる保証はないが、腹をくくって決断しなけ
福岡県警留置管理課の警察官らが、同僚の女性警察官に集団でわいせつな行為をしたなどとされる問題で、県警は2日、男性警部補(58)ら7人を停職などの処分にし、発表した。 県警はこのうち、2015年9月に福岡市であった課内の飲み会で同僚女性を羽交い締めにし、3分間にわたって体を触るなどしたとして、この警部補と同課の別の男性警部補(57)を強制わいせつの疑いで2月1日に書類送検した。 2人はそれぞれ「女性に近づいたらそっぽを向かれたのが気に入らず、やってしまった」「酒の席が盛り上がると思った」などと容疑を認めているという。 監察官室によると、2人は飲み会で別の男性警察官に「氷の口移し」の宴会芸をやらせるなどのパワハラ行為も繰り返したとして、停職1~3カ月の懲戒処分。ともに今月2日付で依願退職した。 また、2人のわいせつ行為を手助けした男性巡査長(30)を減給3カ月(10分の1)とし、その様子をスマ
逮捕された刑事事件の被疑者(容疑者)や起訴内容を認めない被告人が身柄を長期間拘束されて取り調べを受ける実態は、「人質司法」と批判されてきました。保釈されず、拘束が数カ月に及ぶことも、冤罪(えんざい)の原因になることもあります。改善策はあるでしょうか。 ■《なぜ》不条理な拘束、改善に及び腰 周防…
名古屋市の河村たかし市長は23日の記者会見で、日中戦争中の1937年に起きた南京事件について「いわゆる南京事件はなかったのではないか。中国は『30万人、市民を虐殺』と言っているが、本当なら日本人が全員南京に行って土下座しないといけない」と述べた。 アパグループ(東京)が運営するホテルの客室に南京事件に否定的な書籍を置き、中国で批判されていることに関連し、記者の質問に答えた。ホテル客室への書籍配置については「内容は別として、それはそれで結構なこと」と理解を示した。 河村氏は「市民虐殺はなかったのではないか。通常の戦闘行為はあったが、政府見解でも『虐殺』は認めていない」とも述べた。一方で政府は、被害者の人数は諸説あるとしつつ、「日本軍の南京入城後、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できない」(外務省ホームページ)との見解を示している。 河村氏は2012年に同様の発言をし、名古屋市は姉
水俣病の原因企業チッソが、患者への補償で経営危機に陥った1970年代、国が公的支援を決めるまでの詳しい経緯が、同社元副社長による内部メモから明らかになった。前例のない公害原因企業の救済に際し、補償費の負担を抑えようとする政府高官らの発言が生々しく記載されていた。 メモをまとめたのは77~89年にチッソ副社長を務めた久我正一氏(故人)。93年3月の作成とみられ、同社が保管していた。チッソ史の研究者を介し、朝日新聞は写しを入手した。 「補償金支払が激増し、経営は逼迫(ひっぱく)の度を深めた」 チッソは73年、患者家族による初の損害賠償請求訴訟(第1次訴訟)で敗訴した後、患者認定を求める人の急増で補償費支出が急拡大していた。久我氏や島田賢一社長らチッソ幹部は74年以降、環境庁の幹部や自民党国会議員らに支援を要請。630億円の総資産に対し906億円の負債を抱える深刻な債務超過に陥った77年度以降は
「袴田事件」の弁護団が21日に明らかにした録音テープの内容には、人権侵害とも言えるやりとりが記録されていた。弁護団は昨年1月に東京高検からこのテープの開示を受け、約1年半をかけて、逮捕当時の「否認」から「自白」に至る約48時間分のやり取りを文字に起こした。 弁護団が東京高裁に提出した申立書によると、1966年9月4日の夕食後、袴田巌さん(80)は「すいません。小便行きたいですけどね」と切り出した。 「小便は行きゃええがさ。その間にイエスかノーか、話してみなさいって」と取り調べの警部が応じた。もう1人の警部補も「ね。その前に返事してごらん。な」と念を押す。 袴田さんの声が記録されないまま、2人の「どうだ?」「お?」という呼びかけが続き、警部が「言えなきゃ、頭だけ下げなさい」「ん?どうなんだ。袴田。ん?」とたたみかける。そして、「おまえ。なあ。女々(めめ)しいぞ。おまえから言ってやらんと分から
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