最近、やたらと「国民」ということばを目にすることが多くなった気がする。 このことばが歴史的にどんな問題をはらんでいるか共有されることが最近少なくなっているのかもしれない。 そこでこのことばの使われてきた経緯を振り返りながら考えてみたい。 日本国憲法で改ざんされた people 戦後政治でいわれる「国民」の基礎はやはり日本国憲法前文だろう。 そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。「日本国憲法前文」 私が日本国憲法にどんな態度を取るのかというと、戦後民主主義の源泉として、尊重することは言うまでもない。しかし、すべてあるがままに受け取ることはできない部分も存在する。