「原油価格上昇」で紹介したような輸入財価格の高騰が続いています。これにどう対応すべきなのか、歴史を振り返って考えてみました。 日本経済は、原材料を輸入に頼っており、輸入原材料の価格が大きく変化すると、経済はそれに適応するため大きな変化を遂げます。その変化が価格に現れると、輸入インフレ、デフレであり、量に現れると実質生産の増減です。これらは目に見えて分かりやすい現象ですが、重要なのは交易利得(損失)という形で現実にどれだけの財を国内で使えるか、つまり実質的な所得にも影響が現れることです。こちらは目に見えるようなものでもなく、通常SNAでも大きく取り上げられることはないので目立ちませんが、輸入原材料が高騰した場合の本質的な問題、真の国民負担は、この交易損失です。 さて、現在輸入原材料の価格の高騰は理論的にはどのような影響を与えるでしょうか?歴史を振り返る前に、少し考えて見ます。 Ⅰ 輸入物価高