☞18 お母さんと妹が骨という無機質な塊になって僕達の古い木造家屋に戻ってきてからしばらくの事を僕はあまり覚えていない。 ただ事故の後、生命保険だとか損害賠償だとか被疑者死亡で書類送検だとか民事裁判だとか僕が新聞やニュースで見聞きした覚えのある文言が、事態の終息へのあまりの煩雑さに耐えかねたサカイさんが依頼した弁護士さんとサカイさんとたまにスイセイの間で飛び交っていた事を僕は断片的に覚えている。 僕はこの時のことをずっと後になってからサカイさんから聞いたのだけれど、あの事故の時、銀色のワゴン車に乗っていた加害者はそれまで特に病気なんかしたことも無いとても健康な内装の会社の若い社長さんで、事故のその日、軽い頭痛を周囲に訴えながらも仕事先に向かって運転していた最中にくも膜下出血を起こしアクセルを踏み込んだまま意識を失ったのだと言う。その人には僕と同じ年の子どもがいた。事故からしばらくして加害者