国の借金は減っている アベノミクスに増税は必要ない 井上 智洋/早稲田大学政治経済学部助教 先の衆院選は与党の圧勝に終わり、アベノミクスが継続されることになった。2年半後に消費税率の10%への引き上げが控えているが、それまでにどれだけ景気対策を実施できるか、あるいは税率引き上げの時期をさらに延期できるかが、アベノミクスの成否を決定づける。いずれにとっても重要なのは、「景気回復と財政再建の間にトレードオフは存在しない」ということである。なぜそう言えるのかをここでは論じたい。 マネーの増大が景気回復をもたらす 金融緩和政策、つまりマネーストック(市中に出回っているマネーの量)の増大を目指す政策は、モルヒネのように痛み=問題を誤魔化すものでなく、錬金術のように労せずに富を生み出すものでもない。人々が持つマネーが増えれば、その資産効果で消費需要も増大する。すると、失業していた人々が労働に従事するの